3次元空間の中で「自己接触」しないで「クラインの壺」を作る方法はあるのか?その考え方が「4次元への入り口」だった!
4次元空間R4でクラインの壺が完成した!
図6をご覧ください。 まず、時刻1秒未満では図形が存在しないので自己接触しようがありません。 時刻1秒のところには「クラインの壺―円板」だけがあります。当然、自己接触していません。時刻1秒より後(時刻1秒を含まない)、時刻3秒より前(時刻3秒を含まない)の各時刻ではどうでしょうか。ここでは円周が1個存在するだけです。これも自己接触していません。 時刻3秒のところには、自己接触していない円板があります。 時刻3秒より後には図形がないので自己接触しようがありません。これを図で表したものが図6です。 このように、すべての時刻で自己接触していません。これが、4次元空間R4に置かれた「自己接触のないクラインの壺」なのです。 以前、この説明をしたところ「時刻1秒のところの図は、細い点線がほかのところと自己接触しているのではないか?」と質問されたことがあります。 もう一度、図5を見てください。時刻1秒のところにある点線は円周が「時間軸に沿って流れていく」という気持ちを表す概念的なものです。時刻1秒のところに実際にあるのは「クラインの壺―円板」だけです。この点線は概念的な補助ですので「クラインの壺―円板」と交わっていません。
小笠 英志(数学者)