3次元空間の中で「自己接触」しないで「クラインの壺」を作る方法はあるのか?その考え方が「4次元への入り口」だった!
4次元空間R4をもう一度考えてみよう
「たて・よこ・たかさ・時間」で決まる4次元空間R4を考えます。 今度は、4次元空間R4(アールフォー:Rは二重線、4は肩付き)の中に円がある状態を考えます。 時刻1秒のところで、この円の円周が光ったとします。その後、2秒間光り続け、時刻3秒で光は消えました(図3上)。 さて、「この光っていたところ全体がなす図形」はどのような形でしょう。 おわかりになったことと思います。答えは、円柱の側面です(図3下)。 必要なら次元を1個下げて類推してください。3次元空間に円柱の側面のみを置いて、横軸に垂直な面で切っていく感じです。
4次元空間の中の円周をさらに考えると!
さらに考えてみましょう。次は、こういう問題です(図4上)。 4次元空間R4の中に円があります。時刻1秒のところで、円周が光ります。その後、2秒間光り続け、時刻3秒ではこの円周を境界にもつ円板の形に光ったとします。さて、この光っていたところ全体のなす図形はどのような形でしょう。 もうおわかりだと思います。答えは、タンブラーのような形です。円柱の側面と片側のみの底がある図形です(図4中段)。 さらに、図4でできた図形の側面を引き延ばしてみましょう。このタンブラーはどのような形になるでしょうか。 答えは、円板のような形になります(図4下)。 図形を「引き延ばしても同じもの」と考える立場では、コップも円板も同じなのです。
4次元空間R4内の「クラインの壺-円板」
では、クラインの壺を完成させます。さきほどの「クラインの壺―円板」を思い出してください。 いま、4次元空間R4の中に「クラインの壺―円板」を置きます。ただし、時刻1秒の一瞬だけ存在するものとします。ほかの時刻にはなにもありません(図5)。 では、この「クラインの壺―円板」に切り取った円板を貼ることにしましょう。まず、この「クラインの壺―円板」の境界は円周です。この境界に切り取った円板を貼ります。 境界の円周同士をぴったりと同一視します。そして、完成する新図形が自己接触ないように作ります。このとき、時刻1秒以後で3秒以前のところに、さきほど考えた「4次元空間R4の中の円板」をつけ足すのです。 4次元空間R4の中の円板はタンブラーのような形をしていました。するとどうなるのでしょうか。もう一度、時間を追って考えてみましょう。