風呂やサウナと健康について考える「浴なび」

　ようやく朝晩が涼しくなってきました。季節の変わり目は疲れやすく、体調を崩しがちなので要注意です。そんな時にお勧めなのが、温かいお湯につかった後、冷たい水につかるか浴びるという「温冷交代浴」です。スポーツ界で近年、疲労回復の手段として行われるようになっています。 【図解】脳梗塞の早期治療につなげるキーワード

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　2013年にフランスなどの研究チームが、激しい運動の後に温冷交代浴を行うと、静養よりも筋肉痛の緩和や筋力低下阻止などの効果が高い、とする研究成果を発表しました。 　なぜこんな効果があるのでしょうか。体を温めると血管が拡張します。一方、温まった体を冷やすと血管は収縮します。血管をポンプのように緩めたり締めたりすることで、血流が改善して末端まで栄養分が行き届き、疲労をもたらす物質が除去されると考えられています。 　問題はどう行うかです。水風呂がある銭湯へ通うのも手ですが、自宅で二つの浴槽を準備するのは現実的ではありません。

自宅でもできる温冷交代浴

　「シャワーを使えば、家庭でも交代浴はできます」と話すのは、医師として25年以上、入浴医学を研究してきた東京都市大教授の早坂信哉さんです。 　その方法は、〈1〉40度のお湯に3分間つかる〈2〉浴槽から出て、30度前後のシャワーを手足の先に1分間あてる―――ことを3回繰り返すというものです。 　プロスポーツ選手が行う「冷浴」は15度以下などと、かなり冷たく、そのまま一般の人が行うとヒートショックを招くリスクがあります。「30度でも十分に冷浴の効果があります」と早坂さんは指摘します。 　体が慣れたら、シャワーの水温を20～25度に下げ、体の中心部にあてるのも良いそうです。そして、最後は浴槽につかって体を温めてから浴室を出ることが大切です。 　ただし、高齢者や高血圧の人、脳心血管の持病がある人にはお勧めできません。不安がある場合は、主治医と相談してください。（竹井陽平）