日本開催PGAツアーがもたらすもの 松山英樹が思う“ZOZO”の意義
◇米国男子◇ZOZOチャンピオンシップ 事前情報◇アコーディア・ゴルフ習志野CC(千葉) 【画像】パリ五輪で銅メダルを獲得した松山英樹 目の前に広がる、あの日の人の波を忘れたことはない。2019年10月24日、日本で史上初めて開催されたPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」が大会初日を迎えた。午前9時半、ジョーダン・スピース、アダム・スコット(オーストラリア)との同組ラウンド。スタートティに立った松山英樹は息をのんだ。
「スゴイな…って。自分にかかっていたプレッシャーも一瞬忘れて、見ている光景に本当に感動した。メジャーと変わらない雰囲気。それを日本で醸し出せるんだ…と思って」。千葉県のアコーディア・ゴルフ習志野CCに漂っていたのは、幾度となく戦ってきた4大メジャーの空気そのものだったという。 2014年にPGAツアーに本格参戦した松山は当時、秋になると米本土での大会以外にマレーシアでの「CIMBクラシック」、中国での「WGC HSBCチャンピオンズ」を戦った。2017年に韓国での「CJカップ」が加わり、他のトップ選手もアジアシリーズに登場。長年、複数の日系企業がツアー大会の冠スポンサーを務めてきた経緯もあって、「どうして日本では開催がないんだろうと思っていた」のも本音だった。
2018年秋、その願いは現実になる。PGAツアーは翌年の「ZOZOチャンピオンシップ」開催を発表。ZOZOTOWN創業者の前澤友作氏の賛同を得て、史上初めて日本国内で最高峰のツアー大会を迎えた。「できないんじゃないかと思っていたこと、夢だったことが日本で実現する」。そう感激したのは、1983年に日本人選手として米国で初優勝した青木功だった。 現役でプレーする松山にとっても待望の試合。同時に、「オレが勝たなきゃいけない、PGAツアーで“バチバチ”でやっている姿を日本で見せたい。そういう責任感みたいな気持ちが強く湧いた」ゲームになった。初回大会を牽引したのはタイガー・ウッズ。同年4月の「マスターズ」で11年ぶりにメジャーを制覇(15勝目)した史上最高のゴルファーが2位の松山に3打差をつけて優勝した。サム・スニードに並ぶツアー最多の通算82勝目。ウッズの輝かしいキャリアの最後のタイトルは今も「ZOZOチャンピオンシップ」である。