日本開催PGAツアーがもたらすもの 松山英樹が思う“ZOZO”の意義
日本人の祖父を持つリッキー・ファウラーは「ルーツのある日本でプレーする機会は本当にありがたい」と語った。コリン・モリカワにも日系の家族がいる。「シーズンのスケジュールが出たときに出場を予定する数少ない試合だ」と昨年の優勝タイトルを大いに喜んだ。 日本開催がもたらすものを享受するのは、松山や海外選手、ファンに限ったことではない。大会は例年、78人の出場枠のうち国内ツアーのトップ選手のために8枠(+推薦枠)を設けている。「日本人選手にもチャンスがある。もしも若手選手が勝てば、すぐにPGAツアーに出られる。メジャーにも挑戦できる。どんどん活躍の場を広げられる。そういう可能性を秘めているということが、すごく大事だと思うんです」(松山)
松山がティショットを放つこちらの写真は、2019年大会のものだ。画像の中央、上段に当時アマチュアだった中島啓太が小さく映り込んでいる。 ギャラリーのひとりとして試合を観戦し、2年後の2021年に初出場。一緒に練習ラウンドをしたモリカワに「これが君のスタートラインだ。これから頑張って」と声をかけられた。そのまた2年後には日本ツアーで賞金王に輝き、今季はDPワールドツアー(欧州ツアー)に進出。松山と「パリ五輪」で日の丸を背負うなどステップを踏んでいる。
サウジアラビア系資金を背景にしたLIVゴルフの登場など、世界の男子ゴルフ界は今、過渡期にある。世界戦略を強化しているPGAツアーだが、アジアの大会はコロナ禍以降、ZOZOだけになった。 ツアーの国際部トップ、クリスチャン・ハーディ氏(インターナショナル社長)は「スケジュールの関係で1つになってしまったが、決してアジアへの思いが低下したわけではない。アジアのオフィスで働くスタッフの人数も増やしている」と熱弁する。裏を返せば、日本での開催ゲームには、今後のアジアゴルフのネットワークの中核としての期待を寄せる。