米金利上昇は“限界”か…今週の米ドル/円は「156~158円」の〈レンジ・ブレーク〉に注目【国際金融アナリストが解説】
12月の米ドル/円は、149円台で取引が始まり一時158円台まで上昇するなど、最大で約10円の「米ドル高・円安」となりました。先月は日銀会合などもあったものの、この原因は日本の利上げ期待後退よりも「米金利上昇」にあると、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏はいいます。その根拠と、今週の米ドル/円の展開について、本記事で詳しくみていきましょう。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
1月7日~1月13日の「FX投資戦略」ポイント
<ポイント> ・12月の米ドル/円は158円まで大きく上昇。主因は「米金利上昇」か。 ・1月はそんな米金利上昇が続くかに注目が集まります。米国株安が拡大するなか、米金利上昇の転換は近いのではないでしょうか。そうであれば、米ドル/円はこの間の高値の161円更新に至らず反転するとの考えから、1月の予想レンジは155~161円、今週の米ドル/円は155~160円で想定したいと思います。
12月は前月から一変、最大で「約10円」の米ドル高・円安に
2024年12月の米ドル/円は、149円台で取引が始まり早々に148円台まで下落しましたが、その後はほぼ一本調子で上昇に向かい、11月のトランプ氏の米大統領選挙後に記録した高値も更新、一時158円台まで最大で約10円の上昇となりました(図表1参照)。 月末にかけて大きく反落した前月から打って変わって大きく上昇に転じたのは、どうしてでしょうか。 12月は、日米の金融政策が注目された結果、米国では2025年の利下げ見通しが後退し、日本では早期利上げ期待が後退しました。 こうした日米金融政策の先行き見通しの修正が、米ドル高・円安を後押ししたとの理解が一般的でしょう。実際に、12月の米ドル/円の上昇は、基本的には日米金利差米ドル優位拡大に沿ったものでした(図表2参照)。 ただ、日米の10年債利回りを別々にみると、米10年債利回りはたしかに大きく上昇したものの、日本の10年債利回りはほぼ横ばいでした(図表3参照)。 これを見る限りでは、12月の日米金利差米ドル優位拡大は、米金利上昇の影響が大きく、反対に日本の早期利上げ期待後退の影響は限定的だったようです。 日銀による利上げは、一時12月にも行われるとの見方も広がりましたが、結果的には12月19日に行われた金融政策決定会合やその後の植田総裁の記者会見などを受け、利上げは1月も微妙で3月まで遅れる可能性もあるといった見方に変わりました。これが円売りを後押ししたとの解説も少なくなかったようです。 ただ、すでに見てきたように、12月中の円金利の低下は限定的でした。 日本やドイツなどの先進国の長期金利は、世界一の経済大国である米国の長期金利に連動する傾向があります。 したがって、日銀の早期利上げ期待が大きく後退したとされるなかで実際の金利低下が限られたのは、やはり米金利が大きく上昇し、その影響を受けたことが大きかったのではないでしょうか(図表4参照)。 以上からすると、さらに金利差米ドル優位拡大で米ドル/円が一段の上昇に向かうか否かは、米金利の動きしだいではないかと考えられます。