「不登校理解されず家族から腫れ物扱い」29歳の女性僧侶が自分を肯定できた理由と「今を生きる子が直面する課題」
■自分の経験を伝えられるのが僧侶の魅力 ── 不登校の子どもは年々増えていますが、現状をどのように感じていますか? 片岡さん:私が学生の頃に比べると、フリースクールなど学校以外で子どもを理解してくれる場が増えたように感じます。ただ学校側が「自分たちで解決せねば」と不登校の子を抱え込んでしまい、不登校の子たちの選択肢をなかなか上手に活用できていないような気もしています。 保護者も「学校くらいは行っておかないと…」と決めつけてしまいがちです。でも子どもにも選択肢があって、毎日学校に行ける子もいれば、週3回がちょうどいい子もいると思うんです。「毎日学校に通う」か「不登校」かの二択ではなく、子どもたちのペースに合わせて、それぞれが心地よくいられる関わり方を理解してあげてほしい。学校側から選択肢を増やしてくれたら、もっと状況はよくなるのではと思います。
── 片岡さんのこれまでの経験が、いろいろな方の役に立ちそうですね。 片岡さん:僧侶の仕事の魅力は、自分が生きてきたことのすべてを反映できることです。苦しかったこと、傷ついたことなど、自分の経験を他者に伝えることで、自分の人生は無駄ではなかったと思うようになりました。 私は、自坊を任せられる人が別にいるなかで、言ってしまえば「必要はない」けれど僧侶として生きることを許された存在です。そんな感謝や恩を「自分の寺を盛り立てる」ではなく「宗教」そのものの意義を社会に証明することで返していきたい。そのために、自らがさまざまな場所に出向き、僧侶としての視点や考えを以て経験を重ね、それを伝えていきたいと思っています。
PROFILE 片岡妙晶さん 1995年、香川県生まれ。真宗興正派・慈泉寺の長女として生まれ、現在は布教使や教誨師として活動。現在は通信制サポート校「無花果高等学園」の運営に参画。 取材・文/酒井明子 写真提供/片岡妙晶
酒井明子