セレッソ大阪・永石拓海の新型コロナ体験談からの教訓…PCR検査基準を早急に見直すべき!
上記の基準を厚生労働省が公表したのは2月中旬だった。その後も感染が拡大の一途をたどり、47都道府県すべてに緊急事態宣言が発令されたいまでは、医療機関に相談する上での基準も見直されなければいけないのではないか。実際に感染した永石が克明に伝えた経過と発熱以外のさまざまな症状は、周囲への注意を喚起するだけでなく、行政に対する疑問も投げかける効果をも生み出している。 「治療としては安静に過ごす、というものでした。医師、看護婦の方々は防護服、マスクをして僕の治療にあたって下さいました。医療従事者の方々は笑顔で対応して下さり、生活で不便のないようにサポートしてくれました。本当に心強かったですし、感謝の気持ちでいっぱいです。医療従事者の方々だけでなく、日常を維持するために多くのエッセンシャルワーカーの方々が今日もリスクを背負い、働いてくれています。本当にありがとうございます。お身体に気をつけてください!」 PCR検査で2度続けて陰性が出たことで、17日に退院している永石は自らが見聞きした、医療現場の最前線で懸命に従事するすべての関係者への感謝も綴っている。一方で永石と濃厚接触した疑いのある選手やスタッフは、所管する保健所による健康管理下から幸いにも外れた。それでもセレッソは当面の間は活動を休止させて、すべての選手を在宅でトレーニングさせる方針を継続させていく。 永石は自身のツイートに前後して、医療従事者への緊急寄付企画を立ち上げたクオカードの投稿や、ハッシュタグのひとつに「#ともにゴールを目指して」がつけられた、セレッソの公式アカウントの投稿をリツイートしている。後者には清武弘嗣や柿谷曜一朗らが桜色で染まったヤンマースタジアム長居をバックに映り込んだ写真とともに、こんなメッセージが綴られていた。 <いま私たちにできることは“行動自粛”と“励まし合う”ことです。一人一人の行動変容がたくさんの命を救います。そして励まし合うことで前を向くことができます。この戦いに必ず打ち勝ち、スタジアムで再会できるよう、ともに乗り越えていきましょう。> 福岡大学から加入して3年目になるセレッソの一員として、思いを共有しただけではない。3月の3連休中に生じたちょっとした油断が感染と15日間におよぶ入院につながり、ギリギリの状況で戦う医療従事者に余計な負担をかけた自分の二の舞を演じてほしくない――永石の一連の投稿からは、図らずも当事者になったからこそ声を大にして上げられる、切なる思いが伝わってくる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)