【箱根駅伝】駒澤大学は準優勝 “絶望”から復活の佐藤圭汰が、区間新の猛追で復路V「来年リベンジしたい」
佐藤圭汰「絶望」から復活し、区間新
復路のスタートは1年時に6区区間賞を獲得している伊藤蒼唯(3年、出雲工業)に任された。12km付近で早稲田大の山﨑一吹(2年、学法石川)を抜き、懸命に山を駆け下りた。56分47秒の区間新記録で爆走した青学大の野村昭夢(4年、鹿児島城西)に追いつけなかったが、伊藤も57分38秒の好記録で区間2位に入り、順位を一つ上げた。 7区は「ゲームチェンジャー」として置いていたエースの佐藤が待ち構えていた。出雲と全日本を欠場し、10カ月ぶりの実戦だった。「(調子は)70%くらい。走る前は緊張していて本当に20kmも走れるのかなと思った」と不安もあった。 しかし走り出すと“怪物ぶり”を見事に発揮した。高校の後輩にあたる中大の岡田開成(1年)を猛追し、5km手前で追いつくと10km付近から置き去りに。1時間00分43秒の区間新記録で、トップ青学大との差を一気に1分40秒まで縮めた。 佐藤は「区間記録を一つの目標にしていて、自分の想定していたペースで走れた。10カ月ぶりのレースだったんですけど、確実に力はついているなって実感できた」と手応えを口にした。 昨年は3区で青学大の太田蒼生(4年、大牟田)とデッドヒートを繰り広げるも惜敗した。大会後に単身アメリカに渡り武者修行を敢行。ボストンで行われた競技会に出場し、5000mで13分09秒45、3000mで7分42秒56と、室内日本記録を立て続けに更新した。しかし恥骨の疲労骨折が判明し、4月から2カ月間休養、6月の日本選手権も欠場した。夏に再びアメリカで合宿を行ったが9月に痛みが再発した。 練習が積めず、チームにも貢献できない日々に、「地獄みたいな、絶望しかなかった」。自信を失った。 心が折れかけた時は、東京オリンピック1500m金メダル、パリオリンピック5000m金メダルのヤコブ・インゲブリクトセン(ノルウェー)が活躍している動画を見て自らを奮い立たせた。「くよくよしていたら絶対にこういう選手にはなれない」 故障の経験も糧にした。内転筋と臀(でん)部の筋肉が弱いと認識し、フォームを改善。コンパクトでバランスがいい腕振りに変わり、足の接地も良くなった。「自分の体を見つめ直すいい機会になったなと思います。いろんな人のサポートのお陰でここまで戻すことができて感謝の気持ちでいっぱいです」