好き嫌い分かれる「大胆」デザイン BMWを変えたクリス・バングル 忘れられないクルマたち
BMW GINAコンセプト(2008年)
正式名称は「GINAライト・ビジョナリー・モデル」で、変形する布製の表皮で作られた22世紀風のコンセプトカーである。ヘッドライトは目のように開閉し、リアスポイラーは可動式で、ロッカーパネルが筋肉質なフォルムになるなど、フレキシブルなボディをまとっている。 GINAコンセプトはまた、バングルがBMWに残っていたら同社のデザイン言語がどのような方向に進んでいたかを示唆するものでもある。
BMW退社後のバングル
2009年2月、バングルは突然BMWを退社し、自動車業界から足を洗った。BMWは後任として、バングルとともに複数のプロジェクトに携わったオランダ人デザイナー、エイドリアン・ファン・ホーイドンクを起用した。 BMWは声明の中で、「当社の成功に対する彼の貢献は決定的なものであった。そして、彼はチームと共に未来への明確で美的な道を切り開いた」と述べている。 バングルはその後イタリアに移り、クリス・バングル・アソシエイツというデザイン会社を設立した。息子のデレクもここで働いている。2010年、インターネット上ではバングルがフィアットに復帰するという噂が流れたが、これは誤りだった。彼は2012年、マスターデザイナーとしてサムスンに入社した。中国企業とも仕事をしており、その最初の成果は2017年のロサンゼルス・モーターショーで発表されたEV「Redspace」のプロトタイプ(写真)である。
AUTOCAR UK(執筆) 林汰久也(翻訳)