夜行バスはホテル代高騰で「走るビジネスホテル」化 各社が注目する「推し活女子」の遠征ニーズとは
■ダイナミックプライシングが機能し始めた こうした夜行バス市場の活況は、「『ダイナミックプライシング(変動価格制)』が機能し始めたことも大きい」と、高速バスマーケティング研究所の成定竜一代表は説明する。 かつて、夜行バスの運賃は「認可運賃制」で、事業者間の競争は認められていなかった。 02年から徐々に規制緩和が進み、12年からは長距離路線の場合、事業者がほぼ自由に運賃を設定できるようになった。 ただ、夜行バスの収益性は昼間の高速バスに比べて低く、利益を出しにくい構造がある。 夜間は、400キロを超えて走行する場合は13年から2人体制で運行しなければならず、人件費は昼間の運行の2倍かかるからだ。 「変動価格制が本格的に始まって10年あまり。ようやくさまざまなデータを蓄積し、コンピューター処理で運賃を決めるノウハウが構築された。収益性は上がっています」(成定さん) ■「乗務員不足」をどう解消するかが課題 課題もあるという。 「最近は乗務員不足で、書き入れ時でも続行便を出せない状況が続いています。それが解消されれば、さらに利用者は増えるでしょう」(同) 安さと利便性で重宝される夜行バス。以前は「体力的にキツい」イメージが強かったが、女性向け設備の充実したバスも増え、飛行機や新幹線のチケットが取れなかった際の選択肢に入るようになってきた。推し活遠征女子という新たな顧客も獲得しつつある。コロナ禍からの完全復活は近そうだ。 (AERA dot.編集部・米倉昭仁)
米倉昭仁