夜行バスはホテル代高騰で「走るビジネスホテル」化 各社が注目する「推し活女子」の遠征ニーズとは
■「推し活」利用が平均3割 夜行バスの「新しい顧客」として各社が注目するのが、アイドルや俳優、アニメのキャラクターなどの「推し」を応援する「推し活」需要だ。 ウィラー・エクスプレスの場合、推し活(ライブイベント)目的の利用は平均約3割を占める。今年のゴールデンウィーク期間は5割を超えた(昨年は約4割)。 「普段からライブイベントの多い東京や大阪だけでなく、地方都市での開催が増え、推し活需要が高まった」と、同社の担当者は分析する。 記者の娘も推し活に励んでおり、しばしば大阪や地方都市に「遠征」する。夜行バスのメリットを、こう話す。 「イベント会場ではさまざまなグッズが販売される。人気のグッズはすぐに売り切れてしまうので、朝から行列ができる。夜行バスは早朝に現地に着くので好都合。浮かせたホテル代をグッズの購入につぎ込める」 もちろん、夜遅くまでイベントを楽しめるというメリットもある。 ■イベント参戦用に「VIPラウンジ」も 推し活に力を入れる会社はまだある。夜行バス「VIPライナー」を運営する平成エンタープライズ(埼玉県)もそのひとつだ。イベント開催日には客が増えることを踏まえ、「イベント情報は常にチェックして、運賃や『続行便(臨時増便)』の本数を調整している」(同社の担当者)という。 同社では、推し活をする女性のためなど、着替えなどができる待合室「VIPラウンジ」を、東京、名古屋、京都、大阪の夜行バスの発着場の近くに設けている。公式サイトから予約すれば更衣室を無料で利用できる。 「ゆったりした服でバスに乗車して、VIPラウンジでスーツやイベントに参戦する服に着替えていただく。最近ではハロウィンの仮装をされるお客様もいらっしゃいました」(同社の担当者) 着替えなど、かさばる荷物を無料で預かるサービスも実施している。 VIPライナーの場合、普段から女性客の比率は6、7割。イベント開催時には「女性だけで満席になることもある」(同)という。 VIPライナーの「ドル箱」は東京―大阪路線だ。 同路線の大手、西日本JRバスも「推し活の遠征なら『JRバス』できまり!」とアピールする。同社は、「曜日の並びのほか、イベントの有無や内容を独自に分析して、運賃を決めている」(西日本JRバスの担当者)という。