【40代50代にこそ大切な「自分軸」の作り方とは?④】思考のクセを手放すヒント
頑固さが怒りを生む構造とは?
────たしかに、頑固な人はいつもイライラしていて、怒っている印象があります。 OCO:例えば仕事について、「自分が楽しくてやりたいから、相応の努力もできる」という状態は、良好なエネルギーとなります。しかし、「誰よりも努力しなければならない」「ラクはすべきではない」という自分を縛り付けるような強いこだわり、価値観を持つ人がいたとします。ところが同じ職場には、「仕事は、いかにラクするかだ」という主義の人がいたらどうなるでしょうか。「仕事は頑張らなければならない」という信念がある人の身近には、正反対の価値観の人がいる。すると「もっと努力すべきなのに、なぜあの人は手を抜こうとするのか!」と怒りが湧いてきますよね。このように、ねば・べき思考は、自分を縛るだけでなく、他者にも、その縛りを押し付けることになりかねません。相手の価値観までを変えようとしたり、境界線を越え踏み入ってしまうことになったり。 つまり、自分のこだわりによって、すでに相手の境界線内に無自覚に立ち入っている状態こそが、頑固さからイライラ、怒りが生み出している構造というわけです。 怒りをぶつけられる側ももちろんストレスが溜まりますが、何より「ねば・べき」思考のご本人が、とても苦しい気持ちを味わうことになってしまうんですね。不要な刷り込みを手放すことは、ご自身を大切にしていく上で、本来的で重要なプロセスなのです。 ──── 他者には他者の価値観があることを許せずにいると、自分がどんどん苦しくなる…。それは、辛いですね。 OCO:自分にとって大切な価値観があるように、他者には他者の大切な価値観があります。こだわりを手放せずにいることで、怒りの感情も生じやすくなることから、強いこだわりと怒りは、表裏一体と言えるのです。そして、自分の感情に向き合わず、他者に矛先や責任を向けようとすると、関係性の構築や修復は難解を極めるものとなります。その状態がさらに進んでいくと、「周りも、自分と同じ価値観でなければならない!」という信念から、他者をコントロールしようとする心が働いてしまいます。 ですからできるだけ早く、視点と意識を自分の内側へと向けることがとても大事なポイントなのです。 ────子育ての場合であれば、子どもの希望には目を向けず、「こういう進路を選ぶべき!」など、親の価値観を一方的に押し付けてしまう、というケースもそうですよね。 OCO:はい。子どもには子どもの、その時の価値観があることを大切にしてあげてください。親としての価値観は、一つの個人的な価値観として切り離して考える必要があります。冒頭でも申し上げたように、他者を変えたり、コントロールしたりすることはできません。それなのに、どこかで他者を自分の所有物のように扱ったり、価値観を押し付けていたり、コントロール可能な対象と位置付けていたりした時に、関係性にひずみが生じてしまいます。 また、外部に責任の所在を向けると、自分に気づくことから遠ざかってしまうのです。他者に意識を向けているので結局は思い通りにはならず、また怒りが湧いてきてしまう…という、負のループにハマってしまいます。 怒りを含め、自分の中にあるさまざまな感情の起伏が出てくる原因は、実は自分のこだわりが作っていた、というわけなのです。この構造を知っていただくことで、ご自身の頑なさに気づくきっかけ、その糸口になるのではないでしょうか。