何がどう変わった? ヴィッセル神戸が三浦淳寛氏に緊急監督交代してから連続完封勝利を成し遂げた理由
グランパスとは結果的にフィンク前監督のラストゲームとなった9月19日に、豊田スタジアムで対峙して1-2の逆転負けを喫している。奇遇にも中10日で同じ相手と対戦したなかで、Jリーグから公開されているトラッキングデータはヴィッセルの明確な変化を物語っている。 ヴィッセルの総走行距離は、前回の104.489kmから115.59kmへと約11kmも増加。90分間で10km以上を走った選手も、前回がMF山口蛍と酒井の2人だけだったのに対して山口、酒井、MFセルジ・サンペール、FW郷家友太、DFダンクレー、DF西大伍、そしてイニエスタと7人を数えている。 走りまくったからと言って必ず勝てるとは限らない。ただ、原則論として走らなければゴールへの、そして勝利への筋道は見えてこない。3バックが多かった前任者から三浦監督のもとで4バックに移行された点を含めて、グランパスのFWマテウスはヴィッセルとの再戦をこう振り返った。 「自分たちのリズムがなかなかフィットできず、こういう流れになってしまった」 今年元日の天皇杯決勝を制した際の[3-5-2]を最適解として、フィンク前監督は今シーズンにも臨んだ。一転して三浦監督は[4-3-3]を、さらに中盤もアンカーを置く逆三角形型にしている。ボールを支配し、相手を押し込む意味で前線にかける人数を増やす。同時に「しつこく」をキーワードに、守備への意識づけをより強めている方向性がいまのところ奏功している。 「ゲームを支配したい、という思いは当然あります。そのなかでボールを奪われた後の切り替えであるとか、それでも奪い返せなかったときの守備の意識をいま、徹底してトレーニングしています」 グランパス戦後のオンライン会見で、三浦監督はヴィッセルの現状をこう語った。不安なく戦うための一丁目一番地と言っていい、守備の再構築に真っ先に着手できているのも、指揮官をして「ちょっと次元が違う」と目を細めさせる司令塔、イニエスタの充実ぶりを抜きには語れない。