「坂本」という名字を名乗った坂本龍馬。実は、彼が出た坂本家は分家でした
坂本(さかもと)
「坂本」は「坂の下」という意味の方位由来の名字です。 坂はどこにでもあることから、名字の「坂本」も沖縄を除いてほぼ全国に広く分布しています。どちらかというと西日本に多いのですが、人口比の5位以内は、熊本県、高知県、青森県、山梨県、佐賀県で、地域的にもバラバラです。 ところで、「坂本」という名字の人物で有名なのは、幕末の志士坂本龍馬でしょう。龍馬は土佐藩の下級武士で「坂本」という名字を名乗っています。 実は龍馬の出た坂本家は分家で、本家は高知城下でも有名な「才谷屋」という豪商でした。この才谷屋の名字が「坂本」で、この坂本家には、明智光秀一族の明智左馬之助(秀満)の子孫であるという伝承があります。明智家は近江の坂本(現在の滋賀県大津市)を本拠としており、坂本家の名字はそこに由来している、というのです。しかし残念ながらこの伝承に信憑性は乏しく、龍馬と近江坂本には関係はなさそうです。 なお、宮崎県南部から鹿児島県にかけての地域では、「さかもと」という名字は「坂元」と書くことが一般的です。また紀伊半島では「阪本」と書くことも多いです。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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