米FRBが0.75%の大幅利上げ 今後の利上げペースはどうなる?
2024年には50bp程度の利下げを想定
2022年末の3.5%到達を前提にするなら2023年は1回25bp換算で2回弱の利上げが想定されていることになります。もっとも、それを換言すれば2023年前半に利上げが終了するとの見通しです。大半の参加者は、その頃までにインフレが落ち着くと同時に景気後退の脅威が増している状況を想定しているとみられます。もっとも1人は利下げ計画を示しました。インフレ退治の代償として景気後退のリスクが高まる、あるいは既に景気後退に陥っていることを前提にしたとみられます。 2024年はFOMC参加者の中心的な見通しとして(2023年末ドットチャート中央値水準からの)50bp程度の利下げが想定されました。中立金利の2.5%を大幅に上回る利上げを経てインフレが落ち着き、利下げが可能になるとの見立てでしょう。もっとも、大半の参加者は自身の見通しは不確実性が強いことを認識しているとみられ、本音では参考値程度の扱いとみられます。
インフレ退治の代償として景気後退の脅威拡大か
市場参加者の政策金利見通しを反映するFF金利先物が描く政策金利予想とドットチャートを比較すると、2023年半ばまでに利上げが打ち止められることは双方で概ね一致していますが、ドットチャートは2024年まで利下げが想定されていないのに対して、FF金利先物は2023年後半に利下げを見込まれており、市場参加者の方が早い段階の利下げを予想しています。 筆者個人の見解としては、今後、インフレ退治の代償として景気後退の脅威が大きくなり、それに従って市場参加者は利下げ予想を強めていくとみています。昨日(15日)発表された小売売上高、NY連銀製造業景況指数、NAHB住宅市場指数はいずれも前月から悪化し、景気減速を強く示唆する結果でした。過去数カ月は市場参加者の利上げ予想をFedが追随する構図となっていましたが、今後は市場関係者の利下げ予想をFRBが追随していく構図に変化する可能性もあると考えています。
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