スペインの知将は浦和レッズを復活に導けるか?
もっとも、5人を同時に起用できる外国籍選手が現状ではレオナルド、オーストラリア代表DFトーマス・デンしかいない。オンライン会見に同席した西野努テクニカルダイレクターが「必要な時期に必要なことをする、という点に全力を尽くす方針に変わりはない」と明言したように、状況に即した新たな補強もチームを右肩上がりに転じさせる上で欠かせない要素となる。 浦和は昨シーズンから復権へ向けた3ヵ年計画をスタートさせていて、1年目の目標を2021シーズンのACL出場権獲得と得失点差のプラス2桁にすえた。結果は「10位」と「-13」でともに遠く及ばず、2019年5月から指揮を執ってきた大槻毅監督との契約更新を見送った経緯がある。 3ヵ年計画の最終年に定められたJ1優勝から逆算した場合、西野テクニカルダイレクターは「成長速度という観点で少し物足りず、(2022シーズンの優勝に)間に合わないかもしれない、ということでクラブとして今回の決断に至った」とロドリゲス監督の招へいに至ったと説明する。 ロドリゲス監督とは描くコンセプトがほぼ一致し、徳島を躍進させた戦術家、戦略家の手腕が浦和に必要だと判断された。加えて、大けがの影響で24歳から指導者の道を歩み、地元のオビエド大学でスポーツ科学の博士号を取得。サウジアラビア、スペイン、タイで歴任してきた監督業を、日本をへてさらに輝かしい舞台へと昇華させたいと望む野心も共有したいと浦和は考えている。 ただ、徳島でも確固たる結果を手にするまでに時間がかかったことを忘れてはいけない。最終節で喫した黒星とともにJ1昇格プレーオフ出場を逃した1年目を皮切りに、2年目は終盤戦に喫した6連敗で昇格争いから脱落。4位からJ1参入プレーオフを勝ち上がった3年目は、決定戦でJ1の湘南ベルマーレと1-1で引き分けるも、規定によりJ1昇格はかなわなかった。 戦いの過程で10人を超える選手がJ1クラブに移籍しながら4年目の昨シーズンに悲願を成就させた軌跡からも、ロドリゲス監督には選手育成の手腕も備わっていることがわかる。 「何か特別なシステムでいきたい、とは考えていない。最も大切なのは、こういうサッカーをしたいという明確なアイデンティティーをもって戦っていくこと。レッズには素晴らしいクオリティーをもった選手が大勢いるので、まずは2月27日の初戦でそういったところをしっかりと見せたい」