篠崎・進士法律事務所・進士肇弁護士 独占インタビュー ~ 会社と株主の架け橋となる株主総会検査役とは ~
―検査役を選任する際の費用は
株主総会検査役の利用にあたって最大のネックは、申立てにかかる費用が分かりにくいことだったのではないか。だが、費用については、事前に裁判所に問い合わせれば、教えてもらえる。 今回、本書では費用感までは書けなかったが、会社の規模に応じて数十万円から、大きな上場企業で百万円単位という感触だ。
―検査役に選任される弁護士にアドバイスを
裁判所は、検査役の選任につき、事案に応じて、経験のある弁護士や新人を配している。そして、今後予想される案件の増加に対応できるようにするために、後進の育成も念頭に置いておられると思う。今後この仕事をやってみたい若手弁護士は、検査役の補佐を経験し、検査役の仕事ぶりを間近で見て、調査報告書の作成を手伝うのが近道だ。そういう経験をした弁護士であれば、裁判所も新たに就任打診をしやすいだろう。破産管財人代理経験者を管財人に選任しやすいという事情と同じだ。 検査役の仕事は、事前にあるいは現場でやるべきことが意外に多く、検査役一人で対処するのは困難だ。一発勝負だから、人数不足で十分な調査ができなかったということは許されない。したがって補佐が、事案によっては複数の補佐が必要になる。そして検査役が補佐と一緒に業務を遂行することは、結果的に後進の育成に繋がる。若手弁護士は、先輩弁護士が検査役に選任されたら、補佐に名乗りを上げて積極的に手伝ってほしい。
―苦境にある中小企業にアドバイスを
物価高、「働き方改革」の影響で2024年問題とも言われる労働力不足、金利上昇、為替の乱高下など、中小企業を取り巻く環境も大変厳しくなっており、中小企業の経営者はかなりご苦労をされている。 事業再生や倒産の方面から見ると、一言で言えば「資金繰りに気をつけましょう」ということになるが、重大局面に至るまでには幾つもの分岐点がある。経営者の守備範囲は、経営企画、営業、ファイナンス、広告宣伝、人事労務、法務、税務会計、トラブル処理など多岐にわたり、一人で対処するには限界がある。そんなとき、何くれなく相談できる人が近くにいるだけで、心の負担はずいぶん軽くなるし、良い結果も得られるはずだ。そういう存在として我々を備え置くという感覚で構わない。 少しでも手前で相談していただければ、我々の知恵を最大限利用して、ベストな又はベターな選択肢を提供できる。困ったときには早めに、身近な税理士さんや、その程度では手に負えないなと思ったら弁護士を紹介してもらい、少しでも早く相談してほしい。 当事務所の顧問先企業であれば、月次試算表や財務諸表を定期的に確認しているので、そのタイミングで困り事の相談を持ちかけられることが多い。また、試算表や決算書を見て、これらから透けて見えてくる気づきを我々からお伝えして、問題を早めに抉り出すこともできる。