大阪市「オンデマンド交通」実験エリアが拡大 “反発一辺倒”だったタクシー業界が態度を軟化させた理由とは
大阪市長は採算ベースに乗ることを期待
黒田常務が指摘した通り、事業として続けるには採算性が問われます。自治体が交通事業者に運行を委託するコミュニティーバスの場合、赤字分を自治体が補填する場合が多々ありますが、今回の実験では、たとえ赤字が出ても市からの補填は行われない見込みです。 その理由について、松井市長に4月7日の定例会見で尋ねたところ、「税で補填している事業は、やはり長期間継続するのが非常に難しくなります。僕は大阪であれば、このオンデマンドバスシステムが事業として採算ベースに乗ると思っています。民間の交通事業者も、行政も、それから利用者も全てウィン・ウィン・ウインとなれるような形をつくりたい」などと回答。 事業の持続可能性を高めるために必要なのは、「まずはやっぱり認知してもらうこと。続けることで認知度が上がってくれば採算ベースに乗ってくるのではないか」との考えを示すとともに、「今回の北区・福島区には、(大阪メトログループに加えて)他の事業者も参加しているので、これをビジネスチャンスと見込んでいるものと思っています」としてAIオンデマンド交通の定着に期待感を示しました。 今後の実験では、採算性の検証も当然行われるでしょう。AIオンデマンド交通とタクシーなど他の交通機関との組み合わせによって新規需要が生まれるのか、それが採算面にどのような影響を与えるのかについて、注目していきたいと思います。 (取材・文:具志堅浩二)