化粧品・健康食品D2Cあるある集【連載第1回目】は広告代理店・運用会社編
こんにちは、通販・D2Cコンサルタント、クリームチームマーケティング代表の山口尚大です。化粧品や健康食品のD2C(Direct to Consumer)ビジネスを進める中で、広告代理店や運用会社との連携は避けては通れません。しかし、実際の現場では「そんなことが起こるのか!?」と思わず笑ってしまうようなトラブルや「またか…」とうんざりする事例が発生します。今回は、化粧品・健康食品D2Cビジネスに携わる人なら誰もがうなずいてしまう「広告代理店・運用会社あるある」を深掘りしながらお届けします。 1. 熱心な営業マンが契約後に姿を消し、新人に交代 営業段階では、いかにも「ベテランです!」という風格の営業マンが熱弁をふるい、「自社にはこれだけの実績があります。お任せいただければ、確実に成果を出します!」と自信満々にプレゼンしてきます。その熱意に押されて契約を結ぶものの、いざ業務が始まると、彼の姿はどこにも見当たりません。代わりに登場するのは、新卒なのか転職したてなのかわからない、経験の浅い新人担当者。「えっ、話が違うじゃないか!」と動揺しても時すでに遅し。新人が不慣れな運用を進め、結果的にクライアント側が細かい調整やフォローをする羽目に。営業段階の「お任せください!」が今では遠い幻のように思えてきます。 2. 薬機法違反のクリエイティブ提案が持ち込まれる 化粧品や健康食品業界では、広告表現に関する法律や規制が非常に厳しいことは常識ですが、それを知らない代理店担当者が意外と多いのも現実です。「効果バツグン!」「1日でスッキリ!」など、法律的に完全アウトな表現が盛り込まれたクリエイティブ案が堂々と提案されることも。こちらが「薬機法に引っかかるので、この表現はNGです」と指摘すると、担当者は「そうなんですか?」と驚くばかり。下手をすると、法律の存在自体を知らないケースもあります。修正に時間がかかるだけでなく、「大丈夫かな、この会社…」と不安がよぎる瞬間です。 3. レポートが月1回しか出てこないため、運用が放置される 広告運用の状況を知るためのレポートが、月に1回しか提供されないケースは少なくありません。その間、運用がどのように調整されているのかは完全に不明です。クライアント側からすると、「せめて週次で状況を知りたい」「日々の動きに応じた調整をしてほしい」と思うのですが、代理店側の答えは「リソースが足りません」。結果的に広告はほぼ放置状態になり、特に競合が激しいキャンペーンシーズンでは大きな機会損失につながります。レポートが上がってきた頃には、状況が手遅れになっていることもあり、「もっと早く教えてよ!」と思わず叫びたくなることもしばしばです。 4. アカウントが代理店所有のため運用がブラックボックス化する 広告運用のアカウントが代理店名義で作成されることは、珍しくありません。しかし、この場合、クライアント側からは運用状況を直接確認できないため、何がどう動いているのかが完全にブラックボックス化してしまいます。「ターゲティングはどうなっているのか?」「入札単価は適切か?」といった基本的な質問をしても、「それは代理店のノウハウなので…」と明言を避けられることが多く、不信感が募ります。さらに、契約を終了するとアカウントそのものが引き渡されず、新しい代理店で一から作り直す羽目になることも。これでは運用の引き継ぎがスムーズに進むわけがありません。 5. 説明不足の専門用語が飛び交うミーティング 定例会議やミーティングでは、CTRやCVR、ROASといった専門用語が次々と飛び出しますが、その説明が不十分なことが多々あります。クライアント側が「それはどういう意味ですか?」と質問すると、返ってくるのはさらに専門的な言葉の羅列。「よくわからないけど、そういうものなんだろう」と妥協するしかない状況に陥ることもしばしばです。最終的には「任せるしかない」という形になりがちで、本当に必要な意思決定にたどり着けないジレンマが生まれます。 6. 成果が出ないと「予算が少ない」の一言で片付けられる 広告運用で期待通りの成果が出ない場合、代理店側が最初に言いがちなのが「そもそも予算が少ないですね」というセリフです。もちろん、広告運用には一定以上の予算が必要なのは理解できますが、すべてを予算のせいにされるのは納得できません。たとえ予算を増やしても成果が変わらない場合や、むしろ悪化するケースもあるため、クライアントとしては「本当に運用方法に問題がないのか?」と疑わざるを得なくなります。ここで冷静に検証しようとすると、「時間をいただければ改善します」と丸投げされることも少なくありません。 7. 事前のシミュレーションと大きく乖離する 広告代理店が提案する事前のシミュレーションは、期待を膨らませる数字が並ぶことが一般的です。しかし、実際の運用が始まると「全然話が違う!」という結果になるケースも。原因として多いのは、競合の状況や市場環境が正確に把握されておらず、シミュレーションが楽観的すぎる点です。「他社でもこのターゲティングで成功しています」と言われても、その「他社」が具体的に誰なのかは不明なまま。結局、甘い見込みに基づいた計画が大きなズレを生み、運用途中で「最初からこうなるってわかってたよね?」と思わず突っ込みたくなる事態に陥ります。