楽天はなぜ功労者の「田中将大」に“花道”を用意できなかったのか
年会費180万円、10人限定の個人ファンクラブ開設の期待も黒星先行
田中に対する球団サイドの期待は、戦力としてはもちろん、ビジネス面でも大きかった。復帰1年目、球団公式ファンクラブの他に、田中の個人ファンクラブ(年会費180万円で10人限定の『マー君クラブVIP』と、年会費1万8,000円で1,000人限定の『マー君クラブ』の2種類)が設けられ、あっという間に完売した。 しかし、ふたを開けてみれば、1年目は4勝9敗、2年目9勝12敗、3年目は7勝11敗と常に黒星先行。今季も昨年10月の右肘クリーニング手術の影響で出遅れ、1軍ではわずか1試合登板(5回4失点で敗戦投手)に終わった。年俸も9億円から3年目に4億7,500万円、今季は2億6,000万円へと減り続けた。 そして今年もまた大幅減俸を提示されたわけだが、田中本人は金銭面の不満で退団を決意したわけではないことを強調している。 「個人的に受けた印象としては、もう期待はされていないんだなと。居場所がないんじゃないかと受け取った」 一方、球団関係者はこう指摘するのだ。 「田中がチームに愛着を失ったのは、石井一久SD(シニアディレクター)の存在と関係があると思います」 現役時代に剛速球左腕として日米通算182勝を誇った石井氏は、親交が深かった三木谷オーナーの要請で2018年9月に編成部門トップのGM(ゼネラルマネジャー)に就任。2019年にはAクラス(3位)入りと健闘した平石洋介監督をわずか在任1年で退任させ、翌20年には後任として三木肇2軍監督を昇格させたが、4位に終わった。翌2021年からは石井氏自身がGMと監督を兼ねるも、3位、4位、4位と振るわず(昨年は監督専任)。昨年限りで退任してSDに転じたが、今季の指揮を任せた今江敏晃監督は4位で、またもや1年限りで退任となった。しかし石井氏自身は来季、GMに復帰することが決まっている。 「石井SDはGMとしても監督としても、1度も結果を出していない。自分が選んだ監督を退任させることはあっても、要職に残り続けている。『オーナーと仲がいいからといって、常に責任を取らないのは納得がいかない』と反発している者も少なくありません。来季再び1軍監督を務める三木さんは、2020年に1年だけ監督を務めた後、翌年から2軍監督に戻って4年間務め、来季からまた1軍監督。まるで一般企業の人事異動のようで、プロの監督に対する敬意が感じられません」(前出の球団関係者)