大学入試「志望校を下げないで」河合塾主席研究員が志望動向を分析 女子に“チャレンジ志向”強まる
女子の志望分野が多様化、国際系がコロナ禍から復活
――学部・学科の傾向はどうでしょう。 国公立でみると、外国語や国際系の人気が復活してきました。コロナ禍の影響をもろに受け、過去3年ほどにわたって前年比80%台の大きな落ち込みが続いていましたが、ようやく底を打ったという印象です。 また、女子のチャレンジ志向を強く感じます。難関大志望者が増えているとともに、志望分野が多様化しているのです。 理学系の志望者は全体で前年比108%ですが、女子に限れば113%です。工学系も全体では前年比103%ですが、女子は110%。なかでも機械・航空が115%、土木・環境が124%と大きく伸びています。医学部も全体で102%ですが、女子は108%です。文系でも経済・経営・商の女性の志望者が106%と増えています。 この傾向は私立でも同じです。女子の志望分野の多様化が、女子大離れにもつながっているように思われます。
共通テストに新科目「情報」
――今シーズンの大学入学共通テスト(本試験)は1月18日と19日です。 大学入試センター試験から大学入学共通テストになって5回目ですが、問題量が多いことと、出題傾向はあまり変わらないと思います。 特に国語と数学の試験時間が前年より長くなり、問題数が増えるでしょう。そこは心してください。 毎年、共通テストが終わると、SNSに「人生終わった」という書き込みがあふれますが、冷静に、しっかり自己採点することが大事です。 平均点が下がったのなら、できなかったのは自分だけではなく、必要以上に弱気になっているのかも知れません。逆に平均点が上がった時は、浮かれてしまうことがあります。いずれの場合でも、冷静に自分のポジションを見極めましょう。 ――新学習指導要領に対応した初めての入試で、「情報」が新設されます。 これまで学習指導要領が変わった時は安全志向が強まったのですが、今回はそれほど影響がみられません。 「情報」は新科目だけに対策がしづらく、どのようなものになるのか、私たちもわかりません。1学期の模試の平均点はとても低かったのですが、2学期では上がりました。多くの生徒が情報を学ぶのは1年生の時なのでブランクがあり、夏休み以降にがんばったのでしょう。 ただ、「情報」ばかりに時間をかけるのはお勧めしません。 私立大で「情報」を課すところはほとんどなく、国公立大学も「情報」の配点を高くしていません。特に難関大になるほど英語、国語、数学の配点が高くなるので、そちらの対策をしっかりやってほしいと思います。