大学入試「志望校を下げないで」河合塾主席研究員が志望動向を分析 女子に“チャレンジ志向”強まる
難関大の志望者が増える一方、東大は…
――主に年内に行われる総合型・学校推薦型の志願者は増えているのでしょうか。 河合塾が11月15日にまとめた総合型・学校推薦型の志願者数は、国公立が前年比111%、私立が115%と増えています。大学進学をめざす層が広がっていて、その多くが総合型・学校推薦型を受けるとみられます。 私立大では、総合型・学校推薦型が入学者の6割を占めるようになっています。国公立では3割弱にとどまっていますが、後期日程を廃止し、その分の募集人員を総合型・学校推薦型にシフトする動きが強まっています。 ――一般入試の志望動向はどうでしょう。 前年までの「文低理高」から「文理均衡」となりそうです。 文系の志願者数は過去2年にわたって前年比94~95%と減っていましたが、今シーズンの速報値は100.8%です。理系は102.0%でした。 また、難関大の志望者が増えています。過去を振り返ると、新課程入試の初年度は安全志向が強まり、難関大を敬遠する動きがみられましたが、今回はむしろ逆です。 旧帝大をはじめとする国立の「難関10大学」の志望者は軒並み増えていて、特に東京工業大と東京医科歯科大が統合して今年10月に誕生した「東京科学大」の志望者は、前年の2大学と比べて109%です。ほかにも北海道大が108%、京都大と東北大が107%、名古屋大と九州大が106%です。 その中で、東京大は前年比98%と、難関10大学の中で唯一減っています。東大合格者を多く出している東京の私立高の生徒が医学部や東京科学大にシフトしている印象で、官僚の人気が下がっていることも背景にあるかも知れません。 ただ、国公立の倍率は共通テストの難易度によって大きく変わりますので注意が必要です。 難関大志望者が増えているのは私立も同じで、早稲田・慶応・上智・東京理科大は前年比109%です。「MARCH」と言われる明治・青山学院・立教・中央・法政は106%、「日東駒専」と言われる日本・東洋・駒澤・専修は106%です。東海地方の愛知・中京・南山・名城の志望者も前年比105%です。