89歳現役! 元オリックス社長・宮内義彦、驚異的な若さの秘訣とは【和田秀樹が聞く】
一番の健康法は仕事
和田 実は、私が一番の健康法だと思っているのは仕事です。世間では「年を取ったら引退しろ」と言う。でも仕事をできる間は、続けたほうが脳的にも身体的にも、絶対にいいはずです。 宮内 私は若い頃、「70歳を超えたら経営はやっちゃいかん」と言ってました。どんな立派な人でもちょっとした狂いが生じてくるのを見たり、聞いたりしましたからね。ところが自分が70歳になったら「俺、元気やないか」と(笑)。 和田 まだ引退は早いと? 宮内 いや。「早く辞めにゃいかんな」とか「自分もおかしくなったらいかんな」という強迫観念はありました。だけどリーマンショックなどもあって辞めるわけにいかず、結局78歳まで続けました。 和田 以来11年。89歳の今も現役ばりに働いている。 宮内 シニア・チェアマンというよくわからん肩書をつけて仕事をしています(笑)。 和田 会社とは一線を画しておられると。 宮内 はい。自分ではイニシアティブを握らず「頼まれ仕事だけをする」と決めました。そしたら「宮内は暇だろう」と思われるのか、あちこちから頼まれるので結構忙しい。今はかなり整理して、数社の社外役員と学校関連や公益法人の役員をしています。 和田 やはり、忙しいことが宮内さんの若さの秘訣なんだと思います。もちろん無理はよくありません。だけど日々、新たな問題に取り組むので、脳も身体も衰える余地がないのです。 宮内 ありがたいことです。少しでも皆さんのお役に立っているなら誠に幸いと思います。 和田秀樹/Hideki Wada 精神科医。1960年大阪市生まれ。東京大学医学部卒業。現在、立命館大学生命科学部特任教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長。老年医学の現場に携わるとともに、大学受験のオーソリティとしても知られる。『80歳の壁』『70歳の正解』など著書多数。 宮内義彦/Yoshihiko Miyauchi オリックス シニア・チェアマン。1935年兵庫県生まれ。1960年ワシントン大学経営学部大学院でMBA取得後、日綿実業(現・双日)を経て、1964年オリエント・リース(現・オリックス)入社。社長・グループCEO、会長・グループCEOを経て現職に。著書は『諦めないオーナー』など多数。
TEXT=山城稔