89歳現役! 元オリックス社長・宮内義彦、驚異的な若さの秘訣とは【和田秀樹が聞く】
規制に守られ既得権益を死守したい組織に対し“規制改革”を挑み続け、社員13名のベンチャーをグローバル企業に育て上げた宮内義彦氏。片や医療の壁と闘い続ける和田氏。和やかな対談から、ふたりに共通する“折れない、しなやかな”生き方が見えてくる――。『80歳の壁』著者・和田秀樹が“長生きの真意”に迫る連載。1回目。 【写真】元オリックス社長・宮内義彦×和田秀樹、対談の様子
若さの秘訣
宮内 『ゲーテ』は私も時々拝見します。ちょっとお高い雑誌だなと(笑)。「年をとった」ということでの取材は初めてですが、まあ、お手柔らかに。 和田 私は一風変わった医師でして、医療、とくに高齢者医療に関しては、大いに疑問を持っています。医者の言葉を信じてもロクなことはないのではないかと。それよりも、実際に元気で長生きをしてる方の話のほうが学びは多い。という理由からこの連載を始めたんです。 宮内 なるほど。理論より実践、論より証拠ってわけですね。 和田 はい。宮内さんとは、私が日大の常務理事をしていた時に何度もお会いしています。で、感動したんですよ。見た目の若さが驚異的なんです。しかもやることがアクティブです。年齢をまったく感じさせない。 宮内 いや、やっぱり老いは感じますよ。自分の年を考えて、びっくりすることもある(笑)。 和田 老年医学では「見た目が若い人は老化が遅い」という指摘があります。老化が遅いから見た目が若いのか、見た目を若くしてるから老化が遅いのか、真相はわかりませんが。 宮内 私は若く見られたいとは思わない。意図して、若くあろうともしてません(笑)。 和田 食事はどうですか? 昔の『週刊新潮』に宮内さんの食生活の記事を見つけました。「定番の朝食はグレープフルーツを半分、紅茶、ヨーグルト、パンにハチミツとごまペーストを合わせたものを塗る。昼は野菜が主体。夜の会食は多いが、酒を飲まない日も設ける。基本的に粗食」とあります。 宮内 30年も前の記事。よく見つけられましたね。今もほとんど変わりません。近頃はグレープフルーツをジュースにして飲むのと、フルグラを食べるようになりました。パンとフルグラは1日交替です。カルビーの社外取締役をしていましてね、そこの製品なんです。 和田 さすがですね。さりげなく宣伝もされる(笑)。 宮内 今日の昼はロータリークラブで会食でした。あそこの食事はカロリーが表示してありましてね。さすがに「これは食べ過ぎだ」と半分くらいにしました。少し空腹を感じるくらいが、私としてはコンフォタブルなんです。 和田 お酒は? 宮内 好きです。だけど酒量はかなり落ちましたね。お酒を飲みたいと思える時は、やっぱり健康なんです。毎日でも飲めますが、今は原則1日おきにしています。弱くなりましたよ。 和田 お酒を代謝する能力は加齢とともに落ちますから。 宮内 その分、経済的です。 和田 夜は会食が多い? 宮内 今はあまりないです。昔はお客さんを呼んだり呼ばれたり。嫌な酒を飲まにゃあいかん時もありましたね。現役を離れ、コロナ禍もあり、家での食事が増えました。 和田 専属のお料理人が? 宮内 いませんよ(笑)。家内が用意してくれます。今どきは出来合いのものや、インスタントのものも美味しくなりました。 和田 実は、医学的にもいいんです。家で作ると食材の品目が少なくなりがちですが、年を取るほど足りない害が増えてくる。外で作ったものは食材の数も多いのでお薦めなんです。食事以外の健康法は? 運動とか。 宮内 僕は不精ですから、気が向いたら散歩にいく程度です。それと週に1回のゴルフは続けています。きっちり何かをするようなことは、あまり好きじゃないんです。 和田 それがいいと思います。ムリせず、ぶらぶらと。 宮内 フラフラと歩く(笑)。