〈年金月29万円〉〈アルバイト月10万円〉だったが、夫急逝で年金生活崩壊「もう家賃は払えない…」65歳妻、号泣と苦悩の果てに決断した最終手段
老後の生活のベースとなる公的年金。一般的な夫婦で月23万円程度といわれていますが、夫婦での年金を基本として生活設計をしていると大変な事態になる場合があります。 ▼【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
手取りで月33万~35万円…お金の不安のない老後生活
65歳以上を高齢者と呼ぶ機会が多いですが、まだ現役で働いている人も多い昨今、果たして高齢者と呼んでもいいのか……躊躇うことも多いのではないでしょうか。 総務省『労働力調査』によると、2023年、「65~69歳」の就業率は53.5%と半数を超えています。半数を割るのが「70~74歳」で34.5%、「75歳以上」で11.5%。高齢者を「年金を受け取り生活をする人たち」とするなら、65歳はまだ高齢者と呼ぶにはちょっと早い、という感覚かもしれません。 田中智子さん(仮名・65歳)は、23歳で5つ年上の夫と結婚し、子どもが生まれてからはパートをすることもありましたが、基本的には専業主婦でした。夫の健一さん(仮名・70歳)は60歳で定年を迎え、その後、再雇用制度を利用して契約社員として65歳まで勤務。さらに「健康にもいいから、働けるうちは働きたい」と現在は週3でアルバイトをしていました。 老後を支えるのは公的年金です。多くの高齢者にとって、これが生活の基盤となります。会社員や公務員の場合、基本的に老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給します。老齢基礎年金は、40年間480ヵ月の保険料を納付していれば、月額6万8,000円(令和6年度)を受け取ることができます。 老齢厚生年金の保険料は給与によって異なり、それに応じて受給額も変わります。たとえば、大卒で大企業に勤めていたサラリーマンが60歳で定年退職した場合を考えてみましょう。平均的な給与を得ていたとしたら、月年金額が老齢厚生年金が13.1万円ほど、併給の老齢基礎年金と合わせると月19.8万円になります。さらに、非正規社員として65歳まで働いた場合は、老齢厚生年金が月額14.2万円と増え、基礎年金と合わせて月額21.0万円を受け取ることができます。 田中さん夫婦の場合、夫の正敏さんは月額22万円、妻の智子さんは自身の厚生年金が加わり月額7万円、合計で29万円の年金を受け取っていました。そこに月10万円ほど健一さんのアルバイト代が加わります。 ――年金の手取りでは月額25万円程度。全体で月33万円から35万円ほどになります。年金だけで十分暮らしていけると考えていました