慶應大の総合型選抜の対策とは? 日吉キャンパスのワークショップでは、高2までの活動実績が重要と分析
大学の総合型選抜入試が注目されている。慶應義塾大学は難関大学の中でも総合型選抜入試に積極的で、法学部は最大160人、湘南藤沢キャンパスの総合政策学部・環境情報学部は最大300人を募集している。ここまで大きな枠を総合型選抜に割いている難関大学は珍しいため、受験生からの注目度も高い。 しかし、その対策のために何をすればいいかはなかなか把握しにくい。そんな中、慶應義塾大学院経営管理研究科(慶應ビジネススクール)の「起業体験」という授業の一環として、学生4人が中心となって開催する「KEIO(慶應)サマーフェスティバル2024」で、総合型選抜経験者たちが起業したカドデ推薦塾による「慶應生とつくるあなたの合格プラン 総合型選抜ワークショップ」が開催された。対象は高校1年生と2年生。 【グラフ】今の大学入試は「一般選抜」が少数派? 国公立・私立別の割合を見てみる
総合型選抜で慶應に合格した先輩たちから学ぶ
まずはカドデ推薦塾の代表で、総合型選抜で慶應に合格した山永絵里香さんが登壇し、ワークショップの目的が語られた。 「参加者にはこの夏から対策に取り組んでほしいのですが、まず合格するイメージをつかむ。2つ目は自分の合格戦略を立てましょう。3つ目は受験を経て大学を卒業したのちの、人生の道筋を立てましょう。この3つが今回のイベントの課題です」 それらを考えるためには、何はともあれ先輩たちの体験が知りたい。そこで総合型選抜で慶應に入学した学生たちが自分の体験を語った。
アスリートのキャリア支援政策を高校時代から研究
慶應義塾大学法学部政治学科の女子学生が登壇した。高校2年生から1年間、アメリカに留学した。スポーツが好きだったことから、「アスリートのキャリア支援政策を、日本とヨーロッパの政策比較という形で研究する」というテーマを立ち上げた。 優秀な成績を残したアスリートも、大学卒業と同時に引退することが多いと知り、それをどうにかできないのかと思ったのがきっかけだという。論文を読んだり、アスリートにインタビューをしたりし、研究を続けた。これを志望理由として法学部のFIT入試に合格した。 次にカドデ推薦塾のチーフ講師で、文学部の城山寛介さんが自分の体験を語った。県立の進学校時代に不登校になり、通信制高校に転校し、時間に余裕ができたので地域活動などに参加した。その経験の中で、「中高生と大人のコミュニケーションがもっと円滑にできないか」と思うようになった。 このテーマは教育学や社会学の切り口でもアプローチできるが、ポッドキャスト(インターネットラジオ)番組に参加したことからメディア社会学から研究をしたいと決めた。慶應の文学部社会学専修ではメディア社会学が学べ、慶應大学メディア・コミュニケーション研究所という機関もあり、学部の2年生からそこで学ぶことができる。そのため、慶應文学部を志望したと語った。 また、法学部政治学科の男子学生は、長崎県出身で、中学1年の時に北方領土問題を考えるプロジェクトの募集に応募。 それから継続的に北方領土問題を調査する機会があり、当事者からのヒアリングも行い、外交官になってこの問題を解決したいと思い立った。慶應の法学部政治学科ではロシア研究ができるために、慶應法学部のFIT入試を受験して合格した。「大学に入学するためではなく、自分が興味を持ったことを追求して、それが総合型選抜につながった」と話した。