「エディオンピースウィング広島」専門家はどう見た? 期待される平和都市の新たな“エンジン”としての役割
2月10日に行われたガンバ大阪とのプレシーズンマッチがこけら落としとなった、サンフレッチェ広島の新スタジアム「エディオンピースウィング広島」。この試合は1-2と逆転負けを喫してホーム初勝利は飾れなかったが、23日にはJ1リーグ今季開幕戦となるホーム初戦が浦和レッズを迎えて行われる。スタジアム・アリーナを専門とする建築家であり、「Mazda Zoom-Zoom スタジアム広島」の建築を手がけたことでも知られる上林功氏は、こけら落としを現地で観戦した広島の新スタジアムをどのように評価したのだろう? (文・本文写真撮影=上林功、トップ写真=YUTAKA/アフロスポーツ)
広島サッカーファンの悲願となるスタジアムが完成
2月10日にこけら落としが行われたサンフレッチェ広島の新ホームスタジアムであるエディオンピースウィング広島。敷地選定の迷走をはじめとしたさまざまなハードルを乗り越えてきたスタジアムであり、そのプロジェクト全体はスタジアム・アリーナ改革が公表された2016年よりもずっと前から粘り強く進められてきた広島サッカーファンの悲願となるスタジアムです。 私自身がこのプロジェクトに最初に「ふれた」のは2009年、マツダスタジアムが完成直前の時期に行われていた新サッカースタジアムに関する市民シンポジウムです。実現した敷地とは別の場所での検討が進められていた頃でしたが、ファンや市民が真剣に議論していたことを思い出します。時を経て、デザインビルド(設計施工)のコンペ提案が行われ、私自身は地域を巻き込むワークショップ「環の座」のファシリテータとして参画しました。 J1クラブのホームスタジアムとしては、2020年の京都亀岡のサンガスタジアム by KYOCERA以来となる最新のスタジアムであり、おそらく数十万都市の中心市街地に建つ「街なかサッカー専用スタジアム」としては日本初といえると思います。 スタジアム単体だけでなく周辺の公園整備などを含め、広島中心市街地の構造そのものの再編が関わっているこの計画。広がりは都市計画だけでなく歴史的文脈にまで至ります。 今回は最新スタジアムの速報としてエディオンピースウィング広島の魅力とともにその展望について考えてみたいと思います。