無印良品では「コオロギせんべい」が売られているそうですが、世界にはどんな「昆虫食」があるのでしょうか? 食材になる虫や、費用について教えてください!
昆虫の栄養素
昆虫が食べ物として注目されるようになった大きな理由の1つが栄養価の高さです。タンパク質や脂肪だけでなく、ビタミン類や必須アミノ酸類やミネラルなど、肉類にも劣らない栄養源が豊富に含まれています。 例えば「レッサーミルワームの幼虫丸ごとおよび粉砕状」は、タンパク質やビタミン、ミネラルなどが多い食品として認可を受けており、シリアルやパスタ、パン、スープなどさまざまな食品カテゴリの用途に使うことが可能です。 イエコオロギやトノサマバッタは必須脂肪酸であるリノール酸やビタミンBやC、E、必須アミノ酸に加え、タンパク質も豊富に含まれています。 ミルワーム(ゴミムシダマシ科の幼虫)は、牛乳や肉などと似たアミノ酸組成をもつことから、筋タンパク質合成速度を集計する実験も行われています。 運動後に牛乳由来のタンパク質とミルワーム由来のタンパク質を採取したところ、タンパク質合成速度が牛乳由来とミルワーム由来の両方で増殖しました。この結果により、虫が持つタンパク質の源に違いがないことが証明されました。
生産コストに問題あり
オランダの農協系金融機関ラボバンクが実施した試算によると、2021年5月の段階で昆虫タンパク質(昆虫由来ミール)の生産コストは1トンあたり3500~5500ユーロ(約55~86万円)とされています。 一方、魚粉の場合は1トンあたり1200~2000ユーロ(約19~31万円)です。昆虫食はコストが高いため、市場に流通させるには越えなければならないハードルがあるといえるでしょう。 昆虫食材の生産を効率化するには、大規模工場の稼働などにより生産コストを下げなければなりません。身近な食材として日常的に使うことはまだ困難なため、昆虫の種類を含め、世界各国で検討が進められています。 また、現在注目されているのが、畜産業における飼料原料のタンパク源としての活用です。ヨーロッパ動物協会によると、昆虫養殖関連企業125社のうち、飼料会社53社による2022年10月時点での投資金額は12億ユーロ(1882億円)と、多額の投資が行われています。
食糧問題に備えて昆虫食に期待
世界の人口増加により、将来タンパク質の供給が足りなくなることが予想されています。栄養も豊富で環境にかかる負荷も軽減できる昆虫食ですが、コスト面の問題をクリアする必要があります。今後の発展に期待しましょう。 出典 農林水産省 令和4年度昆虫の輸出に係る規制調査委託事業 独立行政法人農畜産業振興機構 EUにおける昆虫の飼料利用の実態と展望 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部