お金をかけるほどいい? どのくらいの頻度で受ける? 人間ドックの最適解(専門家が監修)
Q. 何歳から受けるのがおすすめ?
A. 30代後半~40代から 20代から張り切って人間ドックを受ける必要があるかというと、否。というのは、概ねカラダに異常が見られないから。 「経年劣化で血管が傷んだり、生活習慣病やがんなどいろいろな病気のリスクが上がっていくのは30代後半から40代。人間ドックを受け始めるのもこのあたりの年代が妥当です」 厚生労働省の市町村のがん検診の指針では、肺がん、乳がん、大腸がん検診の対象年齢は40歳以上。やはりこの頃がデビューの時期。では、何歳まで人間ドックを受けるべき? 「個人の価値観にもよりますが、アメリカの予防医学の基準では75歳くらいが推奨年齢の終了時期。病気が見つかっても高齢で手術ができないというのが主な理由です」 将来の参考まで。
Q. どのぐらいの頻度で受けるべき?
A. 年1回ぐらい 検査項目は多ければ多いほどいい。そして検査の頻度も多ければ多いほどいい。この考え方はまったくもってナンセンス。 自分に必要のない検査の結果次第では不要な治療を受けることになる過剰医療のリスクもある。そして3か月に1回、人間ドックを受けたとしても新たな病気を発見する可能性は低い。 「よほどの生活習慣の変化がない限り、異常のない人が短期間で病気に陥る可能性は低いと思います。妥当性から言っても費用負担の面でも、人間ドックを受診する頻度は1年に1回で十分だと思います」 血液検査を頻繁に行うことで安心してしまい、肝心の生活態度は自堕落なまま。それより、年1回の検査の結果を受け止め、生活習慣を改める方がよほど有効だ。
Q. レントゲンとCT、精度が高いのは?
A. 肺がん検診はCT 日本人の死亡原因で最も多いのはがん。さらにがんの中でも死亡率トップは男女ともに肺がん。ならば早期発見に努める必要大ありだ。ところが、肺がん検診で今でも行われているのはレントゲンと痰の検査。 「レントゲン検査は昔の結核予防検査の名残で、肺がんの早期発見に繫がるというエビデンスはありません。痰の検査も同様です。あまり意味がないので将来的に省こうという議論もあります」 肺がん検査に関して言うと、残念ながら日本の予防医学は遅れているというのが現状。 「55歳以上のヘビースモーカーに低線量CT検査をしたところ、レントゲン検査に比べて死亡率が約20%低下したというデータもあるので、愛煙家にはこちらがおすすめです」