タイミーの成長に黄色信号 先発者の勝ち抜きが難しい理由 (濵口誠一 中小企業診断士)
■タイミーの競合優位性が危ないワケ
例えば評価システムのバッジ制度。これは他社でも導入可能で、登録特典などのインセンティブを与えることで、ワーカーは複数のプラットフォームを併用する可能性がある。 企業の開拓はどうだろうか? タイミーはそもそも「スポットワークで切り出せる業務を見つけられない。面接なしで採用なんて考えられない」という企業に意識変革を促して、仕事を増やしてきた。世の中の当たり前を変えた革命的な企業といえるだろう。 当然、タイミー独自の開拓ノウハウはたまってはいるはずだが、スポットワーク市場として事例が増えている。したがって、競合企業はタイミーをお手本としてノウハウをためやすい状況にある。現在は、タイミーに先行者利益、一日の長があるが、時間が経つにつれ競争優位は薄れていく。 営業力は競合も強い。リクルートやバイトルを提供するディップは、採用業界のノウハウに長けた営業人材が豊富にそろっている。タイミーは業務別の専任チームによる差別化を強調しているが、同様のことを他社でもできないわけではない。必要であれば業務に詳しく、コンサルティングができる人材を採用すればよい。 既存顧客が他社に奪われるのを防ぐという点では、88,000円のブロック機能が一つの役割を果たす。事業所側にとって、ワーカーの社会保険加入義務が生じないよう管理するには、複数のプラットフォームサービスを使うと面倒だからだ。 とはいえ、タイミーで必ずスキマが埋まるわけではない。人材確保が優先となるため、人手が足りない場合には、他社サービスを使うことも十分あり得る。 このように、タイミーのシステムやノウハウは、スポットワークプラットフォームに共通する汎用的な部分が多い。そもそもプラットフォームビジネス自体が人と人をマッチングするビジネスモデルであるため、独自の付加価値を出しづらいという特性がある。 Facebookを運営するMetaはSnapchatが開始したストーリーズの機能をすぐにInstagramで真似るなど、プラットフォームビジネスは同質化が進みやすいのだ。