脱毛サロン「ミュゼプラチナム」、3度の運営会社が変更 ~ 「船井電機」倒産余波の真相 ~
10月24日に船井電機(株)(TSR企業コード:697425274、大阪府大東市)が破産開始決定を受けて以降、脱毛サロン「ミュゼプラチナム」への関心が高まっている。過去に船井電機の親会社が「ミュゼプラチナム」の運営会社に出資していたことに起因する。「ミュゼプラチナム」運営会社は過去3回変わっているが、船井電機の親会社は2社目が運営する時代に株主だった時期がある。現在の運営会社は4社目となるMPH(株)(TSR企業コード:036547190、東京都港区)で、代表者は現在のサロン運営について「船井電機とは関係ない」と語る。 これまでの運営会社の変遷をまとめた。
話題の中心とする脱毛サロンは、2002年8月に設立の(株)ジンコーポレーション(現:(株)M&Fアセットパートナーズ、TSR企業コード:150171919、福島県)が「ミュゼプラチナム」の屋号でスタートさせた。その後、積極的な広告戦略で一気に国内大手に上りつめ、2014年8月期には売上高386億7,127万円、最終利益11億1,963万円をあげた。 施術サービスは契約時に向こう数回分の代金を一括で支払う(クレジットなど含む)形が大半だが、これを売上高に一括計上していた。一括で入金される資金を基に店舗拡大や広告宣伝に充てていたため、事業拡大に陰りが生じると、サービス提供にかかわる運転資金の補填需要が生じる。こうしたことから、2015年頃には経営不安が広がり、解約が急増。同年8月期は52億1,416万円の最終赤字を計上し、経営不振に陥った。 こうしたなか、2015年12月に「ミュゼプラチナム」事業は、別会社に譲渡された。この時に支援したのが東証スタンダードの(株)RVH(TSR企業コード:350646783、東京都港区)だった。
新たな運営会社も度重なる親会社変更
RVHの支援により事業を継承したのは、運営会社として2社目の(株)ミュゼプラチナム(現:(株)MIT(TSR企業コード:300036639、大田区)だ。ネックとなっていた「予約の取りにくさ」の解消や公式アプリのリリースなどで挽回を図った。 だが、激しい顧客の奪い合いと広告宣伝費が引き続き重く、厳しい環境が続いた。2019年3月期は売上高393億5,700万円に達したが、最終利益は20億1,400万円の赤字に沈んだ。同期末の純資産はわずか1億4,000万円にまで減少した。 そして2020年4月、「たかの友梨ビューティークリニック」の運営会社を傘下に置く(株)G.Pホールディング(TSR企業コード:296505404、新宿区)の子会社となった。 さらに親会社が変わる。2023年4月、国内外で知名度が高い船井電機の傘下となる。脱毛器の製造販売などで相乗効果を狙ったようだが、これも買収からわずか1年で株式を手放す。 この間に「ミュゼプラチナム」の運営会社は、脱毛サロン「キレイモ」などの運営も他社から承継したが、資金繰りが追い付かず、広告費の未払いが発生。未払いの広告費を船井電機の親会社の船井電機・ホールディングス(株)(現:FUNAI GROUP(株)、TSR企業コード: 570182948、大阪府大東市)が連帯保証した。その後、船井電機・ホールディングスの保有する船井電機の株式に対して仮差押が申し立てられ、2024年5月に仮差押されることになる。