「未来のレモンサワー」売れ続けるのは、なぜ? 成功のカギは3つの“流れ”にあった
レモンスライスが浮かび上がってくる斬新な缶チューハイとして、話題になっているアサヒビール(東京都墨田区)の「未来のレモンサワー」。これまでECサイトでの試験販売や首都圏・関信越エリア(1都9県)のみで展開していたが、12月17日から東海・北陸・近畿(2府11県)でも販売する。 【画像】普通の缶チューハイとは違う! 特注ロボットがレモンスライスを詰める瞬間(全10枚) SNSを見ると「こんな缶チューハイ、見たことがない」「早く全国展開してほしい」といったコメントがあるが、そもそもなぜ、本物のレモンが入った商品を手掛けようと思ったのか。開発のきっかけや今後の展開について、同社マーケティング本部新ブランド開発部担当課長の山田佑氏に聞いた。
開発に3年半、大ヒット商品「生ジョッキ缶」の技術を応用
未来のレモンサワーの特徴は、缶の中に本物のレモンスライスが入っていること。フタを開けると、レモンの香りが広がり、スライスレモンがふんわりと浮かび上がる。味わいや香りに加え、視覚や食感も含めた五感で楽しめる新しいタイプのレモンサワーだ。 これまでアサヒビールには「果物などの固形物を入れたチューハイがほしい」といった声が届いており、ナタデココや果物を加工したつぶつぶを入れたものは手掛けたことがあった。だが、果物自体を入れたものは難易度が高く、発売には至っていなかった。 そんな中、2021年に「スーパードライ 生ジョッキ缶」(以下、生ジョッキ缶)が登場。フタがフルオープンで、開けると「もこもこ」と泡が出る、今までにない缶ビールとして大ヒット商品となった。 同社は「生ジョッキ缶の技術を応用したRTD(Ready To Drink:フタを開けてすぐにそのまま飲める飲料)で、居酒屋でグラスに果物を入れて提供されるような商品をつくれないか」と考えた。 通常の新商品は着想から1~2年で発売に至るが、未来のレモンサワーについては想像以上に難航したこともあり、3年半の月日を要した。マーケティング本部と開発部が連携し、メンバー数は各部門のメイン担当だけでも80人以上。RTD開発史上、最大の人数が携わっている。