あらゆる知識に精通した「天才」が教えてくれた、頭を良くするための新書の読み方と「究極のインプット・アウトプット」の方法
【付録】オススメの新書たち~タイトルの分類とともに
乱読するにも精読するにも、いかに新書が素晴らしいかを述べてきた。 その基盤にあるのは、内容が面白いという点だ。しかもその内容にも様々な種類がある。 最後に、私なりの新書の分類と、そのおすすめ本をまとめておくので、ぜひ選書の手引きにしていただきたい。 ◯タイトルで心鷲掴み型 とにかくタイトルで興味を惹かれてしまう! 典型的な新書のパターン。新書棚サーフィンをしたときには、こういう本を山のように買ってしまう。光文社新書、新潮新書、ブルーバックにこの手の名著が多い。 ・小林朋道『モフモフはなぜ可愛いのか:動物行動学でヒトを解き明かす』新潮新書 ・内山節『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』講談社現代新書 ・小山佳一『クレーンゲームで学ぶ物理学』集英社インターナショナル新書 ・山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? ~身近な疑問からはじめる会計学~』光文社新書 ・釘原直樹『人はなぜ集団になると怠けるのか』中公新書 ・近藤一博『疲労とはなにか』講談社ブルーバックス ・安田正美『1秒って誰が決めるの? 』ちくまプリマー新書 ・隠岐さやか『文系と理系はなぜ分かれたのか』星海社新書 ◯王道の入り口 身近な話題、ちょっとしたテーマから、該当の学問に深く誘ってくれる。新書と言えばこういう本! という理想のパターン。岩波新書、ちくまプリマー新書がうまい。 ・見田宗介『社会学入門』岩波新書 ・池上英洋『西洋美術史入門』ちくまプリマー新書) ・高階秀爾『名画を見る眼カラー版 名画を見る眼Ⅰ 油彩画誕生からマネまで』岩波新書 ・御子柴善之『自分で考える勇気――カント哲学入門』岩波ジュニア新書 ・武井彩佳『歴史修正主義-ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで』中公新書) ・志村史夫『いやでも物理が面白くなる〈新版〉 「止まれ」の信号はなぜ世界共通で赤なのか? 』講談社ブルーバックス ・横山雅彦『大学受験に強くなる教養講座』ちくまプリマー新書 ・熊野純彦『西洋哲学史』岩波新書 ・相倉久人『ジャズの歴史』新潮新書 ・徳丸吉彦『ものがたり日本音楽史』 岩波ジュニア新書 ・友野典男『行動経済学』光文社新書 ・高安秀樹『経済物理学の発見』光文社新書 ◯一冊入魂 本気入門書型 上記のように、学問や特定の分野への誘いなのだが、その気迫があまりにすごい本。だいたい分厚くて、一冊で全部教える! という気概に満ちている。良い意味で新書らしからぬ風格。もはや事典、というか事典って銘打ってるのもいる。講談社現代新書とちくま新書、古い岩波新書にはこの手のやべーのがうようよいる。 ・今村仁司『現代思想を読む事典』講談社現代新書 ・大澤真幸『社会学史』講談社現代新書 ・「「物語 〇〇の歴史」 シリーズ」中公新書 ・山内志朗『中世哲学入門』ちくま新書 ・井奥陽子『近代美学入門』ちくま新書 ・伊藤賀一『47都道府県の歴史と地理がわかる事典』幻冬舎新書 ・千葉雅也『現代思想入門』講談社現代新書 ・宮本正興、 松田素二『改訂新版 新書アフリカ史』講談社現代新書 ・朝永振一郎『物理学とはなんだろうか』岩波新書 ・内田義彦『社会認識の歩み』『読書と社会科学』岩波新書 ◯痒いところに手が届く型 新書の中には、そういうこと知りたかったんだけどどうやって調べればいいかわからなかった! ああこういう視点があったのか! など、痒いところ、学問の隙間、灯台の麓に届くような本がある。こういう本に出会えるととっても嬉しい。 ・坂井豊貴『多数決を疑う――社会的選択理論とは何か』岩波新書 ・柳瀬博一『カワセミ都市トーキョー』平凡社新書 ・三木成夫『胎児の世界』中公新書 ・鎌田浩毅『世界がわかる理系の名著』文春新書 ・南野忠晴『正しいパンツのたたみ方――新しい家庭科勉強法』岩波ジュニア新書 ・西村義樹、 野矢茂樹『言語学の教室』中公新書 ・岡田暁生『音楽の聴き方』中公新書 ・松沢裕作『生きづらい明治社会 不安と競争の時代』岩波ジュニア新書 ・都甲潔『感性の起源』中公新書 ・本川達雄『ゾウの時間 ネズミの時間』中公新書 ◯本気です! エンターテイメント型 料理とか名所、芸能、ポップカルチャーをガチで説明してくれる本。身近な話題かと油断していると、そこからグイグイと学問の沼に引き摺り込まれることも少なくない。 ・近藤正高『タモリと戦後ニッポン』講談社現代新書 ・喜瀬雅則『中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由』光文社新書 ・柏井壽『おひとりからのひみつの京都 カリスマ案内人が教える48の歩き方』SB新書 ・塩崎省吾『ソース焼きそばの謎』ハヤカワ新書 ・藤田直哉『ゲームが教える世界の論点』集英社新書 ・塙宣之『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』集英社新書 ◯鮮度と味に自信あり! 時事ネタ解説型 新書は小回りが効くためか、時事ネタ、流行りの話題(ドラマなど)の本を素早く刊行してくれることがある。早くても2、3ヵ月は要するが、質が高く、網羅的な時事ネタ解説に出会えるのはありがたい。 ・清水克彦『2025年大学入試大改革: 求められる「学力」をどう身につけるか』平凡社新書 ・黒木登志夫『新型コロナの科学-パンデミック、そして共生の未来へ』中公新書 ・博報堂生活総合研究所『消齢化社会』集英社インターナショナル新書 ・石井暁『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』講談社現代新書
渡辺 祐真(書評家・ゲーム作家)