あらゆる知識に精通した「天才」が教えてくれた、頭を良くするための新書の読み方と「究極のインプット・アウトプット」の方法
新書を読むことが大好きで、学生時代には新書を読み漁って3000冊を読破したという書評家・渡辺祐真さん。 【写真】あらゆる知識に精通した「天才」が教えてくれた、頭を良くするための読書法 学生時代に出会った「天才」に教えてもらった、新書を読むことが重要である理由とは? そして、渡辺さんが見出した「究極のインプット・アウトプット術」とは? 前回に引き続き、新書の魅力や面白さを存分に語ります(前編はこちら→「「新書3000冊」を学生時代に読破した読書家が語る、新書を読むことが「最高の暇つぶし」だと確信している理由」)。
出会った中で最高の天才
手当たり次第に読んで、未知の分野に出会うという乱読の経験をさせてくれた新書だが、精読の訓練をさせてくれたのもまた新書だった。 そのために思い出話を聞いてほしい。大学生の私には強く憧れている教授がいた。言語学の教授で、専門はキリシタン語学。 キリシタン語学とは何か。戦国時代にフランシスコ・ザビエルなどのイエズス会が日本にやってきたが、それによってヨーロッパ語(特にポルトガル語)と日本語との接触が起きた。それを契機に、日本語の辞書が整備されたり、ヨーロッパ語と日本語の翻訳がなされたりと、日本語に大変革が起きたのだ。そうした一連の言語現象を総称してキリシタン語学と呼んでいる。 以上の説明で分かるように、この分野を研究するには語学に堪能である必要があるし、キリスト教や仏教という宗教に通じている必要もあるし、印刷技術や美術といった多方面の文化史の知識も要する。しかも、できることなら大量のデータを処理するために、プログラミングや統計学に明るいほうが望ましい。 そうした知識を全て自家薬籠中の物としていたのが、その教授だった。 言語学の授業で初回から本格的に統計学を講じ、フランス語、ドイツ語、ラテン語、古代ギリシャ語、ポルトガル語、スペイン語、古代中国語などを易々と読みこなし、更にヴァイオリンの腕前も良く、キリシタン語学にまつわるデータベースまで作り上げた。 生涯で出会った中で、最も傑出した天才である。