2017年は“売り”か“買い”か? 「金」投資とはそもそもどういうもの?
新規大規模金鉱山開発は頭打ち 金特有の価格上昇要因とは?
最後に金特有の価格上昇要因を挙げておこう。 商品価格は需要と供給でもっぱら決まる。金の場合は少し特殊で社会的、経済的要因が金価格を動かすこともあるのだが、基本的には供給量が減って需要量が増えれば価格は上がる。それが今起きようとしている。つまり、金は天然資源であり、地底から湧いて出てくるものでも、宇宙から降ってくるものでもない。地底に存在するものを地上に掘り出すことで供給量の約7割を賄い、残り3割は市中からのスクラップが供給源である。スクラップと言っても主に宝飾品の売却によるものである。中国やインドでは24金、つまり純金の宝飾品、日本でも金塊や18金のネックレス・指輪などが売りに出される。18金の場合は75%純分の金が化学処理で分離される。貴金属の一つの大きな特長は合金になっていても容易、かつ経済的に、金などの純分を分離できることにある。 地上には有史以来採掘された金が一説では17万1300トンあると言われている。この地上在庫は金価格が上昇すると市中に売却される傾向があり、これが金価格があまり大きく変動しない要因となっている。 1970年代、金の生産量の大半は南アフリカの金鉱山で生産されていた。ところが、その金鉱山の埋蔵量がどんどん少なくなり、現在では地下4000メーターの熱い地底において、手探りで掘られている。世界最大の金生産量を持つ中国でも、すでに地下500メーターで金を採掘している。衛星探査により地上に露出する金はほぼ掘り尽くされている。新規鉱山の開発は全くないわけではないが、この10年間における金鉱脈の発見は以前にくらべ85%減少しており、大規模な金鉱山はほぼないと言われている。今すぐ金の生産が無くなるというわけではないが、2016年が金鉱山生産量のピークであり、今後は減少傾向になると言われている。長い目でみれば、金など鉱物資源の供給には限界があることは事実であろう。