2017年は“売り”か“買い”か? 「金」投資とはそもそもどういうもの?
セーフヘブンとしての金
株価が急落したり、証券会社や銀行の信用が低下したり、預金の大半が返金されなくなるかもなどと不安を抱いた人々は、慌てて株を売却したり、預金を引き出したりすることがある。そして手元にある資金をどうするか迷う。その際にセーフヘブン(安全資産)として安全だと思われる米国債や、日本円、あるいは金を買う。 古くは1987年10月19日の暗黒の月曜日(ブラックマンデー)のとき、ニューヨーク証券取引所のダウ平均株価が、前週末より508ドルも値下がり、下落率▲22.6%は、世界恐慌の引き金となった1929年の暗黒の木曜日(ブラック・サーズデー)の下落率▲12.8%を上回った。当時多くのヘッジファンドが解散の憂き目を見た。 その中で株価との相関性が全くない商品投資をポートフォリオに入れていたファンドは、全体のパフォーマンスが上がって無傷で終わったことから、商品、なかんずく金をポートフォリオに入れるべきだとの対策がファンド業界で拡がった。 ワールドゴールドカウンシルによれば、金の投資割合を全資産の約15%にしていたファンドは、過去のパフォーマンスが最も高かったというレポートが出ている。 金の価格は国内総生産(GDP)や金利や通貨等経済の動きとは全く相関性を持たない。ドル建ての金価格はドル為替や米国金利の影響はある程度受けるが、ドル高になる過程で金安となり、金利が上がるとのうわさで金は売られ、一旦ドル高になったり、金利が高くなったりすれば、その後の動きに金価格は影響を受けない。つまりドルや金利の「変化率」に対して、金価格は逆相関的に反応するのだ。 以上のことを現状に当てはめると、米国株価は昨年11月以降トランプ大統領の経済政策案を受けて史上最高値を更新している。しかし、少し振り返って2015年末から16年初めにかけて株価が下落したときを思い出してみよう。金価格は16年2割以上も上昇していた。