今日天皇杯。神戸か鹿島か…「海外のピッチに似ている」と評判の新国立競技場の芝を味方につけるのはどっちだ?
トータルの練習は1時間にも満たなかった。メディアに公開される冒頭の15分間が終わり、真新しいピッチ周辺からの退去を告げられてから、まだ30分あまりしか経過していないときだった。元日に行われる天皇杯決勝に臨む、ヴィッセル神戸の前日トレーニングが終わったとアナウンスされた。 前日練習の舞台は、鹿島アントラーズとの決勝戦が行われる新国立競技場だった。完成後で初めて開催されるスポーツの試合へ向けて、天然芝の特徴や状態などを事前にチェックできるように、勝ち残った2チームに対して日本サッカー協会(JFA)が特別に配慮して実現していた。 もっとも、アントラーズは通常通りに、茨城・鹿嶋市内で練習してから東京入りすることを選んだ。対照的に早朝に神戸を発ち、非公開に変わった後は短めのゲーム形式の練習を行ったヴィッセルのトルステン・フィンク監督は、大晦日に新国立競技場で練習を行った理由をこう説明している。 「ピッチのコンディションや硬さなどは選手たちも事前に知りたいので、私たちにとっては今日ここで練習する意味があった。非常にいい雰囲気で東京まで来られたし、このムードを明日まで持っていきたい。決勝戦が非常に楽しみだ」 ウォーミングアップなどを含めて、午後1時半の練習開始から1時間以内で終わったことからも、戦術的な確認などはすべて神戸市西区にある練習拠点、いぶきの森球技場で済ませてきたことがわかる。ならば、新国立競技場で初めてボールを追った選手たちは何を得たのか。 ヴィッセルの攻撃を差配する35歳のMFアンドレス・イニエスタ、元日決戦を最後に約20年間の現役生活に別れを告げる38歳のFWダビド・ビジャの元スペイン代表コンビは、試合前日にはメディアに対して話さないというルーティーンを貫き、無言で取材エリアを通り過ぎていった。 決勝戦へ帯同した6人の外国籍選手のなかでは最古参となる、2017年夏に来日・加入した34歳の元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキは、ピッチを取り囲む約6万8000人収容の巨大なスタンドが無人だった点に違和感を覚えながらも、前売り段階でチケットが完売している決戦へ思いをはせた。 「今日の雰囲気はよくなかったが、明日はいい雰囲気のなかで試合ができる。明日東京に来る人や来られない人を含めた、すべての神戸サポーターと一緒に決勝を戦って、神戸にとって初めてのタイトルとなるカップを持ち帰りたい」