927gと466gで生まれた小さな双子の女の子。「ごめんね」と謝る私に「ママに会いたかったよ」…娘の言葉に涙があふれた【体験談】
集団生活で発達の様子が気になるように
双子は3歳になってから幼稚園に入園し、集団生活が始まりました。 「子どもたちがとってもかわいかったので、ずっと自分でお世話をしていたかったんですけど、娘たちのためには集団生活も必要ですから、幼稚園に入園することに。自宅近くで保育時間がいちばん短い幼稚園を探しました。そのほうが娘たちと長く一緒にいられると思ったからです。 集団生活をさせてみたら、家では気づかなかった娘たちの発達の様子に気がつきました。ほかのお友だちと比べて少し発達がゆっくりだったり、いっせいの指示に従えなかったり、先生を困らせたりすることがあるとわかってきました。もしかしたら娘たちには発達特性というものがあるのかもしれないな、と感じ始めました」(さとみさん) 妊活中に保育士の仕事を辞めてからたまにパートなどをしていたさとみさんでしたが、双子の小学校入学と同時に、自治体の教育相談員の仕事に就くことになりました。 「不登校児童や、病気で学校の学習について行くことができない児童が利用する、市立中学校の教育相談室に勤務する教育相談員の仕事につきました。娘たちが発達特性があるとしたら、小学校や中学校でどのようなサポートを受けられるのかを、現場で学びたいと思ったからです。相談員の仕事をしながら、中学校の先生方、養護教諭の先生方にいろんなことを教えていただきました」(さとみさん)
『頑張れ!』の応援に苦しさを感じるように
双子が小学校生活を送るうち、より小さく生まれたほうの愛彩さんは、学習や集団行動の面で難しさを感じる場面が増えたのだそうです。 「愛彩はクラスメイトから『頑張れ!』と応援してもらうことがたくさんありました。たとえば、運動会の種目の長なわとび。クラスみんなで挑戦する連帯責任の種目ですから、『あやちゃん、頑張れ!』と愛彩の背中を押してくれる子、愛彩の手を引いてくれる子がいました。だけど、愛彩自身も最大限に頑張っているのです。頑張っているのにもっと『頑張れ!』と言われるうちに、愛彩の気持ちがいっぱいいっぱいになっているようでした。 学習面でも、ゆっくり取り組めば理解できるのですが、学校の授業の進度についていくのは難しいところがありました。そこで私は放課後に自宅を開放して、近所に住む学習面がゆっくりな子を集めて、勉強のサポートをしたこともあります」(さとみさん) 愛彩さんは小学6年生までは普通学級で過ごしましたが、中学1年生からは特別支援級に通うことになりました。 「卒業後の高校進学を考えたとき、このまま普通級で過ごしていたら、さらに生きづらさを抱えてしまうんじゃないか、と。そこで、愛彩の適正検査を受け、障害者手帳の申請をして、中学1年生からは特別支援のクラスに通わせてもらうことにしました。その後、高校も特別支援学校に進学しました。 愛彩自身は『普通級ではクラスメイトたちがよくしてくれて、頑張れって言ってくれたけど、本当の友だちっていなかった。だけど特別支援学校に行ったら、仲間がいっぱいできてよかった』と言っていました。その言葉に、環境を変えてこの道を選んでよかった、とほっとしました」(さとみさん)
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