全候補取材25年、選挙ライターが見た「あのお騒がせ知事&市長陣営の、見過ごせない独特なノリ」
格差・貧困問題に取り組み、メディアで積極的に発言をしている作家・雨宮処凛が、バンドやアイドルなどを愛でたり応援したりする“推し活”について深堀りするコラムシリーズ第8回。今回のテーマは、選挙と推し。選挙の面白さを伝えるフリーランスライター畠山理仁に話を聞いた。取材・文/雨宮処凛(前後編の後編)>>前編は下の関連記事からご覧ください。 【写真】畠山理仁私物のマイ投票箱、本人タスキ、自作の「選挙漫遊」ステッカー さて、「選挙」を全力で推す畠山さんだが、彼が提唱するのは選挙戦を見に行く「選挙漫遊」。畠山さんが名付けの親だ。 「だって、こんな面白い”税金を使ったお祭り”は他にないですからね。それに選挙を見に行くことが民主主義を支えることになるんですよ。候補者も、お客さんが来ているとやる気が出て、ベーシックインカムの金額が上がったりするわけです(笑)」 また、実際に自分の目で候補者やその陣営を見ることで、「間違いが減る」という。 「自分が投票するかもしれない人は、生で見たほうがいいと思います。候補者を見るのも面白いんですが、どういう人たちに支えられているかもすごく参考になります。『自分がその輪の中に入りたいと思えるかどうか』というのも非常に重要なポイントです」 確かに。生理的になんか無理、とかこの人たち良さそう、というのは生じゃないとわからない。 「今、兵庫県知事の斎藤元彦さんがパワハラで問題になっていますが、斎藤さんの選挙戦はノリが体育会系でした」 そんな斎藤知事当選の瞬間を、畠山さんは目撃していたという。 「選挙事務所でにぎやかに声をあげていたのは維新の議員が中心なんですけど、当確が出た瞬間、『ウォーッ!』みたいな感じで盛り上がっていました。勝って嬉しい気持ちもわかりますが、事務所の前を迷惑そうに通り過ぎる地元の人たちはそっちのけ、という雰囲気。公職に就く人は『みんなのために政治をする人』です。『勝てば官軍』ではなく、他者への配慮や権力を持つことに対する自制心があってもいいんじゃないかな、と感じました。」 もう一人、「陣営」のノリが独特だったのが名古屋の河村たかし市長。