全候補取材25年、選挙ライターが見た「あのお騒がせ知事&市長陣営の、見過ごせない独特なノリ」
ミニ河村たかしさんみたいな支援者
「投開票日の事務所には支援者たちが来るわけですが、類は友を呼ぶというか、テレビカメラに自分が映りたくて仕方ない、ミニ河村たかしさんみたいな支援者がいたんです。その人はそろそろ20時で生放送が始まりますって瞬間に、いきなり『でっかいキンタマー!』って叫んだんです(笑)。おそらく70歳は超えているおじさんが。周りの人はウケてたんですが、取材してる人たちは『危ねぇ……、生放送に入る直前でよかった』って」 その陣営でどういう振る舞いが許容されているか。支援者の言動で候補者の人柄や品性、知性も見られていることは肝に命じておくべきだろう。 「本当に陣営によって違うので、いろんなところを見比べると、長年生きてきた勘でわかる。その勘って、生活者、有権者として非常に大事だと思います」 自分の上司とか同僚だったら…という目線で見るのもいいかもしれない。 「それが嫌だっていうのをちゃんと判断するためにも、本人を見た方がいい、ということなんです」 そんな畠山さんが「選挙なんか興味ない」という人にその面白さを伝えるとしたらなんと伝えるのだろう。 「ストリートライブを見に来て欲しい、ですね。選挙期間中に街中で行われる選挙運動はゲリラライブですよ。いつどこで何が起こるかわからない。それに、国政選挙は600億円、都知事選は59億円もの税金が経費として使われます。今、日本人は収入の約46%を税金と社会保障費として納めているのに選挙に行かないのはもったいないです。都知事選は、一票の価値が293万円あるんです。都の予算が8兆4530億円(一般会計)。都知事の任期が4年なのでそれに4をかけて、都民の有権者、1152万4583人で割るとその数字になるんです」 棄権するということは、その293万円の価値がある一票をみすみす捨ててしまうということなのだ。 「選挙は立候補した人しか当選できません。来年には必ず参議院議員選挙が行われますが、参議院議員選挙で被選挙権を持つ『30歳以上で日本国籍を有する人』のうち、実際に被選挙権を行使する人の割合は『25万人に一人』ぐらいしかいないんです。その人が、『絶対投票したいと思える人』であることなんて、ほぼないと思うんですよ。それでも私たち有権者は、候補者の中から間違いが少ない人を選ばなきゃいけない。気軽に票を捨ててしまうと、自分が希望しないことを勝手にやってしまうような人が当選しちゃいますよ、というのはよく言ってます」 そんな畠山さんにとって、選挙は心のオアシス的な要素もあるようだ。