世界の憧れ”きれいな日本の公衆トイレ”の危機をAIが救う!? 混雑予測、清掃回数管理、さらに便器数&動線の最適化など最新技術がすごすぎる
トイレの清掃回数、メンテナンスを最適化する「LIXILトイレクラウド」
設計者以上に差し迫った人手不足に陥っているのが、パブリックトイレの清掃です。実はパブリックトイレは、不特定多数の人が使用し、使用頻度が高く、汚れやすいので、清潔に保つのはとても難しい場所なのだといいます。私たちが思う以上に、日々の清掃に加え、つまりや不具合などの修理、メンテナンスに、多大な工数・コストがかかっているのです。一方で、清掃を行うスタッフの採用難は深刻化。そのため、近年では、ビル管理会社の管理職が清掃現場をまわっていることもあるくらい、とにかく人手が足りていないそう。 LIXILのトイレクラウドサービスは、こうしたトイレの清掃問題に着目、トイレの使用状況をリアルタイムでモニタリングし、清掃やメンテナンスの効率・最適化を図るサービスです。リアルタイムでトイレ状況を監視し、最適・最短の清掃動線を教えてくれるほか、「詰まり」などの異常を検知すると、スマホにアラートが出てお知らせしてくれるといいます。 「ビルの清掃員さんは、みなさん、とてもまじめなんです。決められた時間・手順に則り、汚れている場所もきれいな場所も、マニュアル通り、全部キレイに清掃してくださいます。仮に使用されていない便座があったとしても、一律、清掃していました。トイレクラウドでは、利用状況をモニタリングしているため、未使用トイレについてはスキップしていいよと、スマホのアプリでわかるようにしています。こうしてトイレの利用状況を見える化、最適化していくと、多くの施設で清掃工数が半分で維持できることがわかってきています」と開発に携わった小川祥司さん。 LIXIL自社の実証実験でも、キレイな状態を維持しつつ、清掃業務工数が45.7%削減できたといいます(2022年LIXIL調べ) 清掃業務が半分になるというのは、清掃人員が半分で済むということ。今後の労働人口の減少を考えると、多くの施設で導入必須のサービスになりそう。現に駅や大規模ショッピングモール、スポーツ施設、大手スーパーなどで採用が相次いているといいます。 ですが、そもそも、トイレ清掃そのものを自動化やロボットが代替できないのでしょうか。 「弊社でも汚れのつきにくい便器を開発していますし、家庭用の最新機種では自動でお掃除する機能を搭載していますが、パブリックトイレは不特定多数の方が使用し、汚れもさまざまな上に、トイレ空間も広く、床や壁への飛び散りといった汚れの性質上、ロボットなどでは清掃がどうしても難しく、いまだに人の手は欠かせないと考えています」と話すのは、同じく担当の齋藤淳さん。
【関連記事】
- 家を自分でデザイン&組み立てられる! テクノロジーのチカラで素人でも低コスト&自由度高い家づくりサービス「NESTING」がおもしろい VUILD
- 女子中高生が竹中工務店のオフィスツアーへ!東京都が力を入れるSTEM分野の魅力発信事業とは?
- 3Dプリンターの家、国内初の土を主原料としたモデルハウスが完成! 2025年には平屋100平米の一般販売も予定、CO2排出量抑制効果も期待
- 最高水準の省エネ住宅をDIY! 光熱費4分の1以下、ZEH水準超えの断熱等級6の住みごこちを聞いてみた
- 住まいと学校の断熱事情の最前線、夏は教室が危ない! 住宅は断熱等級6以上が必要、2025年4月からの等級4以上義務化も「不十分」 東京大学・前真之准教授