世界の憧れ”きれいな日本の公衆トイレ”の危機をAIが救う!? 混雑予測、清掃回数管理、さらに便器数&動線の最適化など最新技術がすごすぎる
新潟県燕市、まちなかにできた「独立有料トイレ」の設計でも活躍
2020年のリリース以降、A-SPECは、設計者たちにすでに活用されており、日本のさまざまなパブリックトイレ設計に使われているそう。かつて、建築業界では「設計は線を引くことが大切」という価値観が主流でしたが、近年ではDX化の推進、労働時間の短縮、業務内容の見直しが求められており、そうした時代の流れに非常に沿ったものになった、と小松さん。 「若い働き手が減るなかで、どの企業も労働時間の削減や業務効率化は急務なので、非常に多くの企業さまで活用いただいています。また、自動設計以上に注目されているのが、トイレ混雑予測(混雑予測シュミレーション)です。実際には『混雑予測だけでいいから見せてくれ』といわれるくらいです(笑)」と話します。 確かに、トイレが不足していて行列ができている&汚れていると、お出かけするのをためらうという声もよく聞くので、「トイレが大事」だと思う設計者、運営企業は非常に多いようです。 また、ユニークな実例のひとつとしては、新潟県燕市宮町では、商店街の活性化のためにつくられた「宮町まんなかトイレ」でも、設計のベースとして使われたそう。 「『宮町まんなかトイレ』は、2024年4月に、新潟県燕市に誕生した有料公衆トイレです。設計は新潟工科大学の大学院生が行っていますが、このときにもA-SPECのプランをもとに、学内の多機能トイレでの検証、ヒアリングを重ねて最終プランができたと聞いています」と小松さん。
面積は約2.7平米と大きめなので車椅子でも利用しやすいほか、おむつ交換台やベビーチェアがあるので、商店街に出かけたときに困る「トイレ問題」を解決しています。 「パブリックトイレというと、設計者が考えることと思われていて、一般の人には遠いと思われがちです。ただ、実際には多くの人が利用していますし、使わない人はいませんよね。だからこそ、『みなさんといっしょに考えること』が大切だと思っています。 A-SPECという自動設計を通して、より多くの人が使いやすいトイレをつくるにはどうしたらいいか、多くの人に意見をもらって、アップデートを重ねていきたい。これがよい未来につながっていくと思っています」(小松さん)
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