世界の憧れ”きれいな日本の公衆トイレ”の危機をAIが救う!? 混雑予測、清掃回数管理、さらに便器数&動線の最適化など最新技術がすごすぎる
「何をどのように配置し、動線を考えるとよいのか、実はバリアフリートイレには、設計の基本がつまっています。ここでは私どものA-SPECでは、ベストの案を出すだけでなく、何万通りにもシミュレートしたもののなかから、複数の設計案を提案し、案ごとにアドバイスを添えて、最終的には『人』がより良いプランを選ぶというインターフェイスにしました」と小松さん。
どのようにトイレが使われるのかのモデリング。
複数のレイアウト案が出てきて、比較できたり、
レイアウト評価のための、アドバイスが出てくる。
トイレの混雑シミュレーション。この機能だけでも利用したいといわれるほど、人気だそう。
こうしてバリアフリートイレで得た知見を活かし、現在ではパブリックトイレ全体の自動設計までできるようになりました。YouTubeでは、実際に「A-SPEC」を使って設計する様子の実況動画がアップされていますが、「筆者のような素人でも設計、できちゃいそう!?」というおもしろさ。図面だけでなく3Dモデリングなどもすぐに見られるので、誰でもイメージしやすく、評価、選択しやすいのもステキだなと思えます。 この「A-SPEC」のPRプロデューサーでもある、鶴田彩子さんは以下のように話します。 「私自身、トイレ空間を提案する部署にいるのですが、一人のA-SPECのユーザーとして、もう自動設計のない時代には戻れないなと思っています。一般にパブリックトイレの設計は、設計事務所の特に男性が担うことが多いんですね。すると、障がいのある方や子ども、高齢の方など、多目的トイレの当事者の方と接点がないことが多いもの。どうしても使い勝手を想像することに限界があると感じています。その点、A-SPECを使っていただければ、最低限必要な配慮、快適性、動線などが担保されています。そのうえで、自分の設計やアイデアをプラスすればいい。設計するうえでも安心感があるというのは、設計を担う若手にとっても大きいのではないでしょうか」(鶴田さん) 自動設計で出された案をもとに、微調整を重ねて、ブラッシュアップする。図面を引くという作業を省きつつ、よりよい建築のために考える時間を生み出す。そういう意味で、AIの理想的な活用法だといえそうです。
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