ボノがハミルトンとともにフェラーリへ移籍しないのは「正しい」と元エンジニア。ドライバーへついていくのは危険だと指摘
フェラーリとウイリアムズに在籍した経験を持つロブ・スメドレーは、長年メルセデスのレースエンジニアを務めてきた“ボノ”ことピーター・ボニントンが、ルイス・ハミルトンの後を追ってスクーデリアに移籍しないのは正しいことだと考えている。 【写真】ルイス・ハミルトンの長年の友人で、トラックサイドでサポートを務めるマーク・ハインズ ボニントンはハミルトンの信頼の厚いレースエンジニアとして約12年間、レースウイークにおける7度の世界チャンピオンの取り組みを終始一貫して導いてきた。ハミルトンが新たな冒険を発表したとき、ふたりの非常に成功した仕事上の関係をイタリアのチームで永続させるために、ボニントンの移籍も当然のことのように思われた。しかし今年8月、メルセデスはボニントンをレースエンジニアリング責任者に昇進させることで、彼のチームでの将来をさらに確固たるものにし、憶測に終止符を打った。 フェラーリとウイリアムズの両方でフェリペ・マッサと密接に仕事をし、ドライバーとエンジニアの独特の絆を直接理解しているスメドレーは、ボノの判断は正しかったと考えており、ひとりのドライバーにあまりにこだわるのは危険だと指摘している。 「ルイスのようなドライバーがチームを選ぶ。7度の世界チャンピオンに輝いたドライバーがチームを選んでそこで仕事をすることになったら、側近を連れてくる必要はないと思う」と、ポッドキャスト『Formula for Success』にゲスト出演したスメドレーは説明した。 「私はいつもこのことについて公に話してきた。ルイス自身にとっても、ボノのような人たちにとっても、ドライバーを追いかけるというのはかなり危険なゲームだと思う。なぜなら、ドライバーが不人気になったり、1年後にそこが自分には向いていないと判断したりした場合、ドライバーは側近を連れて行くことができないからだ。だからルイスは正しいことをしたと思う」 「もちろん、彼には『チームLH』があって、周りにマネジメントやトレーナーといった人たちがいるだろうが、エンジニアを連れていこうとするのは間違いになったと思う」 ハミルトンは、元メルセデスのパフォーマンスディレクターであるロイック・セラや、元アシスタントチームマネージャーのジェローム・ダンブロジオなど、馴染みのある何人かとフェラーリで再会することになるが、スメドレーは、39歳のベテランF1ドライバーであるハミルトンは、彼のチーム全体が追いかけてこなくても成功することが可能な、フェラーリの文化を受け入れることに集中する必要があると示唆している。 「チームは彼を受け入れるだろう」とスメドレーは語り、フェラーリがハミルトンの才能の下に結集すると確信している。 「ルイスが持っているような、結果を出す能力があるという評判とともにそこに行けば、チームは彼を受け入れると思う。チームは間違いなく彼の周りに集まるだろう」 「ルイスも自分のチームに親しみ、その文化を受け入れるようにしなければならない。その周辺にいるのではなくね。そうすることができれば、彼らは彼を気にいるだろう。正直に言えば、彼は奇跡を起こすだろう」 「チームは、あと1、2%はゲームのレベルを上げられると思っていると思う。彼らはその自信を感じているからだ。そうではないだろうか? 7度の世界チャンピオンが自分たちのチームにやって来る。エンジンの面で言えば、彼は実質的には生涯在籍したチームではなく、フェラーリを選んだわけだ。突然、彼はそうしたことのすべてとそこでのレガシーを捨て去り、彼らを選んだ」 「それは大きな自信を与えてくれる。そして、もし全員が半分の1%でももっと懸命に賢く仕事をすれば、素晴らしいことが起こるだろう」 結局、スメドレーはハミルトンとボニントンの両者が正しい選択をしたと考えている。ボニントンはメルセデスで安定した高い地位を得ることになる一方、ハミルトンは新たな章に踏み出すにあたり、フェラーリの全面的な支援を得ることになるだろう。 [オートスポーツweb 2024年10月02日]