歴史的23戦22勝……2023年の圧倒的な強さが、レッドブルの弱点を覆い隠した。ホーナー代表「最高のセンサーはドライバー」
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、2023年までの圧倒的な強さによって、マシンが抱えていた根本的な問題を覆い隠していたため、それが2024年に弱点となって露呈したと考えている旨を明かした。 【インタビュー動画】角田裕毅が語る2025年のF1「クオリティをまだまだ上げていきたい」 レッドブルは、2022年と2023年に2年連続でダブルタイトルを獲得。しかし2024年は、マックス・フェルスタッペンがドライバーズタイトルを獲得したものの、コンストラクターズランキングではマクラーレンとフェラーリに抜かれた3位に終わり、同タイトル3連覇を逃した。 フェルスタッペンは中国グランプリを境に、いくつかのレースでマシンに問題を抱えていたと指摘。チームメイトのセルジオ・ペレスは、シーズンを通してパフォーマンスを発揮するのに苦労し、ドライバーズランキング8位……パフォーマンスが低迷したため、同年限りでチームを離れることになった。 2023年は23戦中22勝を挙げる圧倒的な強さを見せたレッドブルが、一転してパフォーマンスを大きく失った格好。前年と比べて、マシンのバランスのスイートスポットを見つけるのが難しかったのかと尋ねられたホーナー代表は、次のように語った。 「前年(2023年)からその兆候があったと思う。それが顕著になっただけだ」 ホーナー代表はmotorsport.comのインタビューにそう語った。 「問題は、23レース中22レースで勝ってしまったことだ。そのことが、多くの問題を覆い隠してしまった」 ホーナー代表曰く、問題はデータと実走の相関関係にあったという。 「これは、我々が理解しようと努めてきたことだ。突然、様々な説が出てきたからね」 「何かが変わったのだろうか? それとも、一連のレギュレーションにおけるツールの能力が限界に達し、各車のパフォーマンスが収束しただけなのだろうか? 皆さんが仰っている違いは、実はごく僅かなんだ。でも、実質的には大きな影響がある」 「つまり、まだ作業を進めている途上だということを意味する側面はたくさんある。励みになるのは、ツールがシミュレータで見ているモノと、より相関しはじめていることだ」 現代F1マシンの開発における風洞とシミュレータの重要性についてホーナー代表は次のように語り、それと実際に走るマシンから同じ結果を導き出せるかどうかが鍵になると説いた。 「我々はあらゆることを少しずつ話している」 「風洞やシミュレータのデータが合わないということは、3つの時計が全て異なる時間を示しているようなものだ」 「ではどれを信じるか? 最終的には、コース上のパフォーマンスを示すストップウォッチを信じる。それは嘘をつかないんだ。そして我々が持っている最高のセンサーはドライバーだ。マックスは今年(2024年)、ドライバーとして重要な役割を果たした」 2024年の前半は勝ち星を積み重ねていたレッドブルだが、シーズン中盤には徐々に勝てなくなり、フェルスタッペンは度々マシンに対する不満を訴えた。しかしチームはこれに対処し、シーズン終盤には少しパフォーマンスが上がり、勝利を手にしたレースもいくつかあった。そして、最終的にドライバーズタイトルは防衛することに成功したのだ。 ホーナー代表は、フェルスタッペンの”感覚”が、開発のための良い基準になったと語った。 「我々が苦労してレースに勝っていた時期だったと思う」 「イモラでは、アップデートを投入した。しかしそれはおそらく、うまくいかなかった。マシンの特性が難しくなってしまったんだ。そして、最良のパフォーマンスを発揮できるウインドウが非常に狭くなってしまった。パフォーマンスを発揮するカーブが急になってしまい、それによってマシンをドライブするのがかなり難しくなったと思う」 そのフェルスタッペンの感覚が、2025年マシンの開発にいかに活かされているのか? そのことは、シーズンが開幕すれば明らかになるだろう。
Ewan Gale, Alex Kalinauckas