【コラム】角田裕毅はホンダのドライバーなのか? それともレッドブルのドライバーなのか? そして我々にできること……
角田裕毅はホンダのドライバーなのか? それともレッドブルのドライバーなのか? 2024年には多くの人がこのことを考えたのではないだろうか? 【インタビュー動画】角田裕毅が語る2025年のF1「クオリティをまだまだ上げていきたい」 レッドブルは、成績不振に陥ったセルジオ・ペレスと2026年まで結んでいた契約を前倒しで終了させ、今季限りでマシンから降ろす決断を下した。後任は当然、レッドブルのジュニアチームで安定した成績を残した角田だろう……多くのファンがそう考えたはずだ。しかし結局選ばれたのは、RBの角田ではない方のドライバー……つまりリアム・ローソンであった。 角田は2025年も引き続きレーシングブルズのドライバーを務めるが、気になるのはその後、つまり2026年以降の去就である。 角田はホンダのレーシングスクール(鈴鹿サーキット・レーシングスクール/現ホンダ・レーシングスクール鈴鹿)を卒業し、日本のFIA F4選手権に挑んだ。その頃に受けたレッドブルのオーディションを兼ねたテストでの走りがレッドブルの目に留まり、ホンダとレッドブル両方の育成ドライバーとしてFIA F3に参戦。その後FIA F2を経て、2021年にF1デビューを果たした。2025年はF1参戦5年目ということになる。 確かに出自を辿れば、角田はホンダが育成してきたドライバーである。その後、レッドブルとの関係も築けたことでF1デビューを果たしたが、レッドブルとホンダのパートナーシップは2025年限りで終了する。そうなった場合角田の立場はどうなるのだろうか。 角田がレッドブル昇格を果たせなかった当時、SNSなどで挙がっていた声の多くは「角田はホンダのドライバーなのだから、2026年にはアストンマーティンに行くべき」というようなものだった。国内外の識者の中にも、そう発言する人が複数いる。 レッドブルとホンダは2019年から、F1のPU供給だけでなくドライバー育成の面でも強力なパートナーシップを結び、共に歩みを進めてきた。しかし2026年からは、レッドブルはフォードをパートナーに自社製のPUを開発・製造して自チームのマシンに載せる予定。一方のホンダは、同年からパートナーをアストンマーティンに切り替えて新たなスタートを切ることになっている。そのため、ホンダとレッドブルのドライバー育成に関するパートナーシップは2024年限りで終了しており、既にそれぞれ独自の育成方針をとっている。実際、2024年のフランスF4でチャンピオンに輝いたホンダ育成ドライバーの加藤大翔には、レッドブルはまったく関与していない。 角田が”ホンダのドライバー”という立場ならば、アストンマーティンのシートを目指すのは確かに理に適っている。しかし、HRC(ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長は2024年の10月、motorsport.comの取材に次のように答えている。 「(角田には)もっとレッドブルの人になってもらっていいと思います。永遠に離れるというわけではないですから。今狙うべきはレッドブルのシート。(レッドブルの人)であるならば、それを狙うべきだと思います」 また角田もラスベガスGPの際に、次のように語っていた。 「ホンダが僕をサポートしてくれていることには感謝しています。でも、僕はレッドブルの一員です」 このふたりの発言を聞けば、 答えは明確。角田は現時点では”レッドブル・グループのドライバー”という立場であり、”ホンダのドライバー”ではないと言える。 また、ドライバーの選択権を有しているのはチーム側。ホンダはあくまでもドライバー選択において助言を行なう立場だ。つまり2026年からホンダがアストンマーティンと組み、例え空きシートがあったとしても、自動的に角田がそのシートを掴めると考えるのは安易すぎるとも言える。少なくとも今後も角田が目指すべきなのは、引き続き”レッドブル昇格”だろう。 そのために、我々日本からも後押しすることだってできるかもしれない。