「プリスティン」「ナナミカ」がタッグを組んだ天然繊維100%のフリースとは
海を守るという思いが重なったコラボ
ナナミカは、機能性のあるファッション性の高いブランドで、キャンパーたちに愛用されています。メンズ、もしくはユニセックスアイテムの印象が強いですが、3年前からウィメンズ企画も正式にスタートしています。そのデザインを手掛けているのが、今回のリアルフリースをデザインした植木寛子さんです。 植木さん自身、以前からプリスティンが好きだったこともあり、リアルフリースの素材に興味を持っていました。昨シーズン、リアルフリースの生地を購入する形でアイテムを作っています。それなら、今年も、生地を仕入れてデザインすることもできたのではないかと聞いてみると、 「買って、使うだけでは意味がないと思いました。ポリエステルのフリースには、マイクロプラスチックの問題があります。天然素材を使用すると、価格や大量に作ることができないなどの問題が出てきます。以前からプリスティンのものづくりの姿勢に共感していたこともあり、今回はダブルネームでリリースしたいと提案しました。」(植木さん) ナナミカとは、七つの海の家という意味。リサイクルポリエステルも使われているとはいえ、海を守るには、天然素材にはかなわない。海を汚したくないからこそ、多くの人に取り組みごと伝えるためにコラボという形にこだわったそうです。プリスティンは、心地良い毎日のウィメンズ中心のブランドで、ナナミカは、アウトドアなどアクティブに活動するメンズ中心のブランドという違ったイメージを持つ両ブランドでしたが、海を守るという同じ思いを持った相思相愛でのコラボ実現だったようです。
機能的であり、ファッションを楽しみたくなるデザイン
アウトドアで活動しやすく、ファッションコンシャスでもあるリアルフリースアイテムのそれぞれの特徴をご紹介します。 ・リアルフリースコート リアルフリースコートは、コートの内側のライナーをアウターにできるリバーシブルタイプ。 「ミリタリーテイストを取り入れたコートは、ブランドの特徴でもあるのですが、スポーツテイストやアウトドアウエアの機能を取り入れています。前の打ち合いを深くすることで暖かく、リバーシブルになっています。」(植木さん) リバーシブルで縫い目部分が気にならないようフラットシーマを採用するなど、着心地に徹底的にこだわっています。ポケットは、表側と裏側で独立しているにも関わらず、もたつかず、すっきりしているのも快適でした。 動きやすさを考えて採用された肩のダーツは、デザインとしてアクセントになっています。こちらは、今までのプリスティンでは考えたことがなかったらしく、コラボだからこそのデザインのひとつです。同カラーのスナップは、肌にやさしいYKKのエコテックススタンダード100のスナップを採用しています。開閉もスムーズでした。 ウィメンズではありますが、ゆったりサイズということもあり男性も着られそうです。 ・リアルフリースプルオーバー ジップアップのプルオーバーは、デイリーにもキャンプにも出番が多そうなユニセックスデザインです。袖口は、MA1でも採用されている編み立てのリブ。 「1960年代から70年代は、内側にボアというのが人気でした。フリースの方を内側にすることで、懐かしいと感じてもらえると思います。」(植木さん) フリースを内側に着たときに、ロゴを外に出すことを想定してデザインされています。ロゴのプリントカラーがネイビーになっていたのも納得ですね。こちらのファスナーは、再生ポリエステル製で、限りなくサステナブルな素材が採用されています。 リアルフリースという素材でリバーシブルということもあり、デザインの指示書で伝えても、縫製工場からイメージ通りにはでき上がってこず、どちらのデザインも数回の試作を繰り返し、ようやく誕生したというコートとプルオーバー。フリースと聞いて価格だけを見ると高価に感じますが、この価格でも、まずは知ってもらうためとぎりぎりの設定にしているのだとか。それだけ、天然素材でフリースアイテムを作るということは、むずかしいのですね。 「化石燃料は枯渇しますが、コットンは翌年種をまくことができます。天然のものを使用し、無染色でデザインした洋服は、着ることでカーボンニュートラルになります。このように地球の未来を考えることも大切ですが、今、生きる人もハッピーでいられるものづくりをしたいと思っています。」(奥森さん) 「環境配慮素材を着ることによって、循環していることを感じてもらいたいです。天然のものを着ていることがいいと思われるような世の中になればいいし、機能だけでなく、ファッションの楽しさが伝わるといいなと思います。」(植木さん) 2つのブランドのお話を聞けば聞くほど、ものづくりで求めるベクトルの方向が同じであるのだと感じました。今回だけでなく、今後もさまざまな化学反応を起こした新作が登場しそうですね。まずは、リアルフリースの着心地のよさを、ぜひ体感してもらいたいです。 林 ゆりさん ロハスジャーナリスト。フリーアナウンサー。 関西を中心にテレビ、ラジオ、舞台などで活動後、東京に拠点を移し、執筆も始める。幼いころからオーガニックに囲まれて育ち、MYLOHASに創刊から携わる。LOHASを実践しながら、食べ物、コスメ、ファッションなど、地球にやさしく、私たちにもやさしいものについてWeb媒体やブログで発信中。
BE-PAL.NET