丸亀製麺の勝ち続ける戦略とは? MMMを採用して感性をデータで測り、マーケティングの勝率を高める!
図について補足すると、最上部に設定されているのが、マーケティング上の最終目標である「持続的な成長」。最下部には「コミュニケーション/アクティベーション」「店内利用/テイクアウト」「従業員」などの項目があり、ここが各施策にあたる。 モデル図では、どの分野の施策を行うと、どのデータに影響がでるかが明確に示されている。基本的には(図の下方から上方に向かって)施策の実施 → KSF(Key Success Factor:重要成功要因)への反映 → 成長結果という具合だ。 ■ BE(ブランドエクイティ)分析 丸亀製麺では、ブランディングと商品プロモーションを正当に評価するため、BE分析を用いている。いわゆる短期効果と長期効果を分けて分析する手法がBE分析である。
以下の図で、テレビCM出稿時の広告効果の事例を示しているが、赤が長期効果(ブランド蓄積効果)、上の山になっている箇所が短期効果である。先述したように、ブランディングによる右肩上がりのベースと、フェアによる山がしっかりと実現されていることがわかる。
■ KSF(重要成功要因)分析
各種調査によって、事業成果につながるブランド重要指標「KSF」の検証を行っているが、そのための概要を示した図が以下になる。この分析により、たとえば利用回数をあげるためには、どれをKSFとすべきかがわかる。
■ 戦術MMM
事業成果に影響を与える要素は1つではない。CMや広告の実施状況はもちろん、天候や人口変動によっても成果は変わってくる。そこで、要素ごとに影響度を調査。それらを積み重ねた結果、最終的にどうなったかを数値として把握できるようにしている。下図においてはA~Pが各要素で、右側の緑のグラフが総計値である。
MMMでありがちな悩み
MMMは非常に複雑な構造である。いざ実践しようとしても「なんとなく難しそう」「データが少ない」「データを集めることが大変そう」「どのくらいの頻度で実施すればよいのかわからない」「何から始めてよいのかわからない」など、さまざまなハードルがあると予想される。そこで、それらについて間部氏から次のような解決案が示された。 ■ なんとなく難しそう MMMはあくまで分析の手法だ。「MMMの考え方や、分析の中身がわかれば、MMM自体は難しくない」と間部氏は指摘する。ただし何を計測するか、MMMの変数としてどれを扱うかについては、一定の知見が必要になる。 ■ データをいかに用意するか これはもう事前の設計で準備するしかない。だが、代替可能なデータが存在するケースもあるので、探ってほしいという。 ■ MMM分析の実施頻度 MMM分析の実施頻度についての明確な回答はない。企業によっては年に1回、数カ月に1回というケースもある。ただし、関係者の間で「この情報では古い」といわれてしまっては元も子もない。「ビジネスに意味のある単位で検討してほしい」と間部氏は語る。 丸亀製麺における実施頻度は明かされなかったが「かなり短いサイクル」のようだ。年8回実施している期間限定フェアメニューの評価も、MMMで評価しているという。 ■ MMMは何から始めればいいか まずは自社のビジネス構造を仮説でもよいので構築してみて、どうすればビジネスが育っていくかを議論し、図に落とし込んでいくとよいという。 ┌────────── 私たちの場合、モデルの設計に時間をかけてはいますが、常に難しい分析をしているかというと、そうではありません。なるべく簡単にシンプルにするのが一番。まずは絵を描いたり、矢印でつなげてみたり、そうしたところから始めています(間部氏) └──────────