今季限りで引退! ヤクルト青木、阪神秋山、広島野村…記録に残る名場面をプレイバック!
高卒ルーキーで無四球完封を達成
前出の青木が2度目のシーズン200安打の快挙を達成した2週間前、高卒ルーキーでは球団初の無四球完封を達成したのが、阪神のドラフト4位ルーキー・秋山拓巳である。 1軍昇格後、2010年8月28日のヤクルト戦で5回を1失点に抑え、プロ初勝利を手にした秋山は、9月5日の広島戦でも2勝目を挙げ、いずれもチームの連敗ストッパーになった。 そして、チームが1分けを挟んで3連敗中の9月12日のヤクルト戦、秋山は本拠地・甲子園で初めてのマウンドに上がる。 1回表、先頭の青木にいきなり中前安打を浴びるが、「詰まっていたのでショックはなかった」と平常心を失わず、犠打で1死二塁となったあと、飯原誉士、ホワイトセルの3、4番をいずれも内野ゴロに打ち取り、無失点で切り抜けた。 その後も最速144キロの直球と変化球を低めに集め、スリーボールになったのは1度だけと抜群の制球力で、スコアボードにゼロを重ねていく。阪神OBの評論家・工藤一彦氏も「大ベテランが投げているようなマウンドさばきだった」(9月13日付・スポーツ報知)と評したほどの堂々たるピッチングだった。 打者としても、7回2死三塁、村中恭平の148キロを左前に運ぶダメ押しタイムリー。春夏連続で甲子園に出場した西条高時代に“伊予ゴジラ”の異名をとった強打者の片鱗をのぞかせた。 そして、5対0の9回も、1死後、エラーの走者を出したものの、飯原を二ゴロ併殺に打ち取り、4安打完封勝利。三たびチームの連敗ストッパーになった。 「プロでは初めての(甲子園の)マウンドだったのに、一番落ち着いて投げられた。声援が温かくて、本当に投げやすかったです」。 同年の阪神は、中日に1ゲーム差の2位でV逸となったが、9月に一時マジックが点灯するなど、シーズン終盤まで優勝争いを演じられたのは、離脱者が相次いだ先発陣の穴を埋め、8月下旬からの約3週間で4勝を挙げたルーキー右腕の働きなしには語れないだろう。